2002 Fiscal Year Annual Research Report
ホロコースト後の国家とユダヤ人社会-独仏におけるユダヤ人社会再建の比較
Project/Area Number |
01J08613
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
武井 彩佳 早稲田大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 現代史 / 戦後ドイツ・フランス / ユダヤ人 / 補償 / 財産返還 |
Research Abstract |
平成14年度の最大の実績は、ナチ、ホロコースト研究の権威であるHolocaust and Genocide Studiesに英語論文が掲載されたことである。これまで欧米、特にユダヤ系の歴史家の独占分野であった戦後ユダヤ史および補償史に、今まで研究されてこなかった点に日本人として光を当てることができた意義は大きいと思われる。この論文は、各国の戦後ユダヤ史家の評価を得た現在、この論文を日本の読者向けに書き直したものを「歴史学研究」に投稿中である。また、歴史を必ずしも専門としない読者に対しては、「ユダヤ・イスラエル研究」に終戦から現在までのドイツにおけるユダヤ人財産の返還を扱った論文を発表した。 本年度中に、海外への研究旅行を二度行った。夏に渡仏してコルマールの仏外務省文書館分館と、パリの外務省文書館で史料収集を行った。これにより貴重な史料を複数見つけることができた。さらに平成14年2月に渡米し、これまでに論文の中で何度か扱っているユダヤ人組織、Jewish Restitution Successor Organization (JRSO)のドイツ本部最初の指揮官であったベンジャミン・B・フェレンツ氏にインタビューを行った。これにより、補償現場の当事者のみが知りうる貴重な情報を得ることができた。 本年度は採用二年目であるため、前年度に収集した史料を基にして論文執筆を中心に進めた。海外の学術雑誌への投稿を視野に入れ、現在英語論文を執筆している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Ayaka Takei: "The "Gemeinde Problem" : The Jewish Restitution Successor Organization and the Postwar Jewish Communities in Germany, 1947-1954"Holocaust and Genocide Studies. vol.16, No.2. 266-288 (2002)
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[Publications] 武井 彩佳: "戦後ドイツにおける相続人不在のユダヤ人財産の返還"ユダヤ・イスラエル研究. 第19号. 32-43 (2003)