2002 Fiscal Year Annual Research Report
相変態理論に基づく組織形成過程のシミュレーションと構造材料への応用
Project/Area Number |
01J08674
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
本庄 稔 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 相変態理論 / 核形成理論 / Cahn-Hilliard方程式 / 拡散方程式 / 最大値原理 / 平均値の定理 |
Research Abstract |
材料組織形成過程のなかでも重要な核形成現象と相分離現象について研究をおこなった。 ・定性的研究について 合金の相分離挙動に関して、Cahn-Hilliard方程式を用いて検討をおこなった。特にCahn-Hilliard方程式の数値シミュレーションの数学的妥当性に注目し研究をおこなった。まずu_t=F(t, u, u_x, u_<xx>)と表される方程式のなかでも最も代表的な拡散方程式に注目し、平均値の定理と最大値原理を用いて古典解の性質を一般的な立場から考察をおこなった。その結果 (1)拡散係数が正のとき:谷が埋まってふたつの山の合体が促され、山の高さも低くなることから全体として平滑化していくことが示された。 (2)拡散係数が負のとき:谷はますます深くなり、山の高さはますます高くなる。また、ふたつの山の分岐は起こらないことが示された。 拡散係数の符号が変わらない場合には、Cahn-Hilliard方程式の数値シミュレーションにより示されたピークの分岐や合体という現象は再現できないということが示唆された。 ・定量的研究について u_t=F(t, u, u_x, u_<xx>)と表される方程式のなかでも最も代表的な拡散方程式を用いて、数値シミュレーションをおこなった。拡散係数が正のとき、時間が経過するとともに全体として濃度プロファイルは平滑化し、さらにふたつの山が合体する。また拡散係数が負のとき、数値解が不安定となることはこれまでにもよく知られている。相分離が起こるためには、拡散係数が濃度依存性をもつ必要がある。実際のシミュレーションでの山の合体が起こるのは、非線形項の寄与が大きいためである。また4階微分項は解の振動を防ぐ働きをしており、ピークを丸くする効果があることが示唆された。
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