2002 Fiscal Year Annual Research Report
廃水処理プロセスにおける複合微生物系の生態構造解析および工学的応用
Project/Area Number |
01J08709
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
青井 議輝 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アンモニア酸化細菌 / LAMP / 定量PCR / 窒素除去 / 硫黄脱窒 |
Research Abstract |
本研究では窒素除去プロセスの効率化を目的に各種分子生物学的手法を用いて同プロセス内における生物膜内の微生物生態を明らかにし,また活性をリアルタイムにモニタリングする手法を開発して新規プロセスや制御技術の開発へ応用することを目的としている。今年度は新規核酸増幅手法であるLAMPを用いた定量的微生物解析技術の開発,また生態構造に関する情報を用いて人工的な生物膜様構造体を作成し,硫黄脱窒細菌と硝化細菌を共存させた硝化・脱窒同時進行型反応場の開発を行った。 LAMPによる定量的微生物解析技術の開発 LAMPを特定細菌または遺伝子発現のモニタリング技術に応用すべくアンモニア酸化細菌をモデル細菌として,定量的モニタリング等の実現に向けた検討を行った。amoAをターゲットにした数種類のプライマーを作成したところ,LAMP特有の増幅パターンが確認された。任意の制限酵素により増幅産物を切断したところ妥当な長さの断片が得られたことから今回設計したプライマーの機能性を確認した。インターカレーターを反応バッファーに内在させ,リアルタイムサーマルサイクラーを用いて定量を試みたところ,高い定量性を有していることがわかった。PCRでは実現不可能な条件(比較的低温かつ等温)においてもDNAの特定配列を増幅することができ,またそれにより特定細菌を定量的にモニタリングすることが可能であることが示唆された。 硝化・脱窒同時進行型反応場の創製 スラグウールを支持体にして表層側に硝化細菌を,内部に硫黄脱窒細菌および粉末硫黄を固定して二層構造を有する厚さ2〜3mmの生物膜様構造体を作成した。本構造体をアンモニア含有無機性排水に投入したところ好気単一条件下で硝化・脱窒が同時に進行し,表面積あたりの窒素除去速度として0.59〜1.04g-N/(m^2・day)が得られた。本構造体は特定のリアクターを必要としないため,新規なプロセスを組まずに既存のリアクターに投入するだけで簡便に硝化・脱窒能をもたせることが可能となる。したがって,好気条件で本来硝化反応しか進行しない排水処理リアクターなどに本構造体を導入することにより,窒素除去能を付与することができるという全く新しいコンセプトを提案できた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 青井議輝 他: "独立栄養細菌を用いた硝化・脱窒同時進行型反応の開発"用水と廃水. 45, 2. 129-133 (2003)
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[Publications] Y.Aoi 他: "Real-time monitoring of ammonia-oxidizing activity in a nitrifying biofilm by amoA mRNA analysis"Water Science and Technology. 46, 1-2. 439-442 (2002)