2002 Fiscal Year Annual Research Report
シャペロニンによるタンパク質折れたたみ機構の一分子蛍光イメージング
Project/Area Number |
01J08720
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
上野 太郎 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シャペロニン / GroEL / タンパク質の折れたたみ / 1分子蛍光イメージング |
Research Abstract |
シャペロニンGroELは、ATP加水分解を伴いながらGroESと結合解離を繰り返し、タンパク質の折れたたみを助ける。これまでに1分子蛍光イメージング法を用いて、反応サイクルが時定数3秒、5秒の2つの律速過程から構成されていること、GroELに結合した酸変性GFPは、GroESが結合した後の3秒間は折れたたみが抑制されていることを示した。この結果は、8秒の単一の律速過程しか持たない従来の反応サイクルのモデルでは説明できない。そこで、これまでほとんど行われていなかった変性タンパク質が存在する条件でのGroELのATP加水分解活性を詳細に検討した。 ATP加水分解に伴う3つの反応:1)リン酸の生成速度、2)リン酸の放出速度、3)ADPの放出速度を測定した。手法として、それぞれ1)マラカイトグリーン法、2)Pi Binding Protein、3)NADH酸化反応とカップルさせたADPからのATP再生反応を利用した。その結果、GroESが結合した後、3秒でリン酸の生成と放出が起こり、さらに5秒を経てADPが放出された。 これまで、GroEL-GroES-ADP複合体(cis ADP-complex)は、生理的条件下で1秒以内に解離すると考えられてきた。しかし今回ATP加水分解反応を速度論的に解析することで、時定数5秒の寿命を持った別のGroEL-GroES-ADP複合体(cis ADP^*-complex)の存在が明らかになった。 今後は、GroELの基質タンパク質に焦点を絞り、GroELのATP加水分解サイクルの各過程で、どのように振舞っているかを明らかにする予定である。
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