2002 Fiscal Year Annual Research Report
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01J08721
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
岡田 令子 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 甲状腺刺激ホルモン / 両生類 / 下垂体 / 視床下部 / 放射免疫測定法 / 甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン / 副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン / 黄体形成ホルモン放出ホルモン |
Research Abstract |
甲状腺刺激ホルモン(TSH)は、両生類下垂体ホルモンの中で、唯一実用に供するほどの量および純化の程度で得られていないホルモンである。そのためTSHの微量測定法が確立されておらず、放出を制御する視床下部因子の正体も明らかにされていない。私はウシガエル下垂体前葉cDNAライブラリーよりTSH βサブユニットをコードするcDNAのクローニングを行い、cDNA配列より推定されるアミノ酸配列の中で抗原として認識される可能性の高い部分の合成ペプチドを作製し、ウサギに免疫して抗血清を得た。この抗血清は抗ヒトTSH β抗体が認識する細胞と同一のものを染色することを確かめた。抗血清、および合成ペプチドを用いてTSHの放射免疫測定法(RIA)による測定系を確立し、この方法によりウシガエル成体および幼生の下垂体細胞からのTSH放出におよぼす種々の視床下部因子の効果を調べた。成体下垂体細胞からのTSH放出量は甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)により促進される(特にCRHの効果が強い)ことが明らかになった。一方幼生下垂体細胞ではCRHはTSH放出を促進するが、TRHおよびLHRHは効果がなかった。また、ウシガエル幼生および成体の視床下部抽出物は、成体および幼生の下垂体細胞からのTSH放出を促進することがわかった。視床下部抽出物に対する反応性は成体の下垂体細胞の方が高く、TSH放出促進作用は幼生の視床下部抽出物の方が高いことから、今後視床下部よりTSH放出因子を単離する場合には、材料として幼生の視床下部、バイオアッセイのための下垂体は成体のものが適当と考えられる。今後は培養細胞からのTSH放出量を指標として、各種カラムを用いて視床下部に含まれるTSH細胞刺激因子の単離・同定を進める計画である。
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[Publications] Okada R, Yamamoto K, Hayashi H, Tanaka S, Kikuyama S: "Stimulation by Various Hypothalamic Factors of the Release of Immunoassayable TSHβ from the Bullfrog Pituitary"Proceedings of the Japan Society for Comparative Endocrinology. 17. 55 (2002)