2003 Fiscal Year Annual Research Report
新摂食ホルモン、オレキシンの生理機能および作用機序に関する研究
Project/Area Number |
01J08769
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
井田 隆徳 山口大学, 大学院・連合獣医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | オレキシン / 摂食行動 / ストレス / グレリン / ニューロメディンU |
Research Abstract |
本年度は以下の項目について検討した 実験1)猫およびヤギのグレリンの構造決定 新規成長ホルモン促進因子としてラットより発見されたグレリンについて、猫およびヤギのグレリンを同定し、比較検討した。ラットでは発見されていない、様々な脂肪酸側鎖の付いたグレリンがヤギ、ネコにおいて同定された。その中には、理論上想定されていなかった脂肪酸側鎖の炭素数が奇数個のグレリン、さらに分子量からは側差の構造が決定できないグレリンを発見した。また、細胞内Ca上昇を指標として、さまざまな側差を持つグレリンの比活性を検討したところ、最も量的に多い炭素数が8個のグレリンよりも1.5倍強い比活性を持つグレリンを発見し、臨床上、有用である可能性が示唆された。 実験2)ニューロメディンU関連新規ペプチドの生理機能の検討 ニューロメディンU(NMU)に関連する新規ペプチドが発見されたが、その生理機能に関しては全く未定だったため、種々の実験を行い、以下の結果を得た。ラットにおいて、摂食行動への関与を検討したところ、強力な摂食抑制効果を示した。これは、NMUよりも、有意に強い効果であった。その作用機序を解明するために、中和抗体による実験、免疫組織学的実験、電気生理学的実験を行った結果、摂食抑制ホルモンであるレプチンの下流で作用し、さらに室傍核でのCRFを介することにより、摂食抑制効果を示す可能性が示唆された。次に、発現分布を検討したところ、体内時計の中枢と考えられている視交叉上核に置いて強く発現していることから、時計機構への影響を検討したところ、ラットに置いて強力な位相前進作用を示した。同じく行動量を増加させるオレキシンには位相前進作用がないことから、より直接的に時計機構に関与している可能性が示された。 以上の結果、この新規ペプチドは、様々な生理作用を有し、より微量で作用することから、生体にとって重要な物質である可能性が示唆された。
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