2003 Fiscal Year Annual Research Report
Wntシグナル伝達経路におけるβ cateninの分解制御機構の解析
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01J08821
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山本 英樹 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | Wntシグナル伝達 / Wnt / Frizzled / エンドサイトーシス / Dvl / Rho / Rhoキナーゼ |
Research Abstract |
これまで、WntとFrizzled(Fz)受容体の特異性やWntがFzに結合した後に、細胞質内のDvlに至るシグナル伝達機構は詳細に明らかにされていない。細胞膜に存在する受容体はアゴニスト、あるいはアンタゴニズトと結合するとエンドサイトーシスが起こり、下流にシグナルを伝達する場合や逆に脱感作を誘導することが報告されている。そこで、本研究では、Wnt蛋白質の精製法を確立し、WntとFz受容体の特異性やWntと受容体のエンドサイトーシスの分子機構を明らかにして、Wntの性状やWntシグナル伝達の活性制御を解明することを目的としている。今年度に得られた知見は下記のとおりである。 1)マウス繊維芽細胞株L細胞にWnt-3aを過剰発現させたメディウムからBlue sepharose、ゲルろ過カラム(Superdex200)、heparin sepharoseを用いて、Wnt-3aを精製した。Wntの受容体であるFzのうち、Fz5やFz6、Fz8の細胞外ドメインをGST融合蛋白質として調製し、Wnt-3aとの結合を解析した結果、いずれのFzもWnt-3aと直接結合した。 2)ヒト胎児腎臓細胞株293細胞において、Fz8に対するWnt-3aの作用を解析した結果、Fz8はWnt-3a刺激後1時間まではエンドサイトーシスによって細胞膜から細胞質に移行したが、2〜3時間後にかけてリサイクルされて細胞膜に移行することを見出した。また、クラスリンを重合させることにより、エンドサイトーシスを抑制するダンシルカダベリンを細胞に作用させるとWnt-3a依存性のFz8のエンドサイトーシスやβ-カテニンの蓄積が抑制された。このことから、エンドサイトーシスによってWntシグナル伝達が制御されることが示唆された。 3)ラット副腎髄質由来褐色細胞株PC12細胞において、精製したWnt-3a蛋白質はDvlを介してRhoやRhoキナーゼを活性化することにより、神経成長因子依存性の神経突起の伸長を抑制した。 これらの知見は、Wnt-3aの性状とエンドサイトーシスによるWntシグナル伝達の制御機構の一端を明らかにしたものである。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yamamoto, H.: "Sumoylation is involved in β-catenin-dependent activation of Tcf-4"EMBO J.. 22・9. 2047-2059 (2003)
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[Publications] Kishida, S.: "Wnt-3a and Dvl retract neurite outgrowth by activating Rho-associated kinase"Mol.Cell.Biol.. in press.