2002 Fiscal Year Annual Research Report
わが国の子供の教育における動物の役割に関する心理学的および行動学的研究
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01J08872
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松本 彩香 (三浦 彩香) 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 子どもと動物 / 学校飼育動物 / 訪問調査 / 小学校 / 飼育舎 / 飼育状況 |
Research Abstract |
昨年度、約1000校の国公立小学校を対象に学校飼育動物に関するアンケート調査を行なった結果、回答のあった学校のうちの95%が動物を飼育していた。しかし、動物が教育にあまり活かされていないと答える教員が多く、また、動物に関心を示している児童は一部のみで、大半は無関心であることがわかった。動物管理に対する懸念や、学校としての動物飼育への取り組み方を改善すべきであるという意見も挙げられた。 そこで本年度は、飼育動物の現状についてより詳しく把握するために、アンケートにご協力頂いた小学校の中から、首都圏(東京・千葉・神奈川・埼玉)の30校を抽出し、訪問調査を行なった。 飼育舎が登下校の通り道にあった小学校はわずか20%で、日が当たらない校舎の北側裏や、正面全体に西日が当たる場所に飼育舎を設置している小学校もあった。全面をよしずで覆い、中の動物が全く見えない飼育舎もあった。動物の種類や生態についての説明書き(20%)や、動物の名前(37%)を飼育舎に掲示して児童の興味を引くような工夫をしている小学校も少なかった。床が土の飼育舎が60%の小学校に見られたが、コンクリート床の飼育舎に比べて掃除が行き届いておらず、糞や羽が散乱しているところが多かった。また、兎が掘った穴に隠れていて全く見えないこともあった。20%を超える学校で、異種動物(例えば、兎と鶏)を同じ小屋で飼育していた。約30%の学校に怪我のあとのある動物か現在怪我をしている動物が、40%の学校に、体の一部が禿げている動物がいた。約半数の小学校で、1年前に比べて動物の数が減少していた。動物の異常行動についても観察を行なったが、展示動物に良く見られるような常同行動を示している動物はいなかった。しかし、人が近づくだけで過敏に反応し、騒ぎ出す動物(例:うこっけい)がおり、動物にとっても世話をする児童にとっても適切な飼育動物とは思えない場合もあった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] A.Miura: "Childhood experiences and attitudes towards animal issues : a comparison of young adults in Japan and the UK"Animal Welfare. 11. 437-448 (2002)
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[Publications] A.Miura: "Attitudes towards assistance does in Japan and the UK : a comparison of college students studying animal care"Anthrozoos. (in press).
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[Publications] H.Tanida: "Cross-cultural study of behaviour of the general public towards guide dog owners and guide dogs in Japan and the UK"Proceedings of the 36th International Congress of the International Society for Applied Ethology. 84 (2002)