2002 Fiscal Year Annual Research Report
大正期教育政策における学校長の教育行政機能に関する実証的研究
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01J08893
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
竹本 英代 広島大学, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 校長 / 日本語教育 / 言語教育 / 宣教師 / 各種学校 |
Research Abstract |
今年度は、大正期の教育政策の立案・決定過程を学校長らの教育要求、団体行動、政治活動から分析する研究の二年目として、前年度に引き続き学校長に関する資料を全国的に悉皆調査した。資料収集は、今年度はとくに明治期の学校長会話資料や各学校文書、個人の経歴に関する資料などを大学図書館や都道府県の図書館で調査した。その結果については、日本教育方法学会で発表し、論文は日本英学史学会に投稿し採択された。 二年目の研究成果の一つとしては、日本英学史学会編『英学史研究』第35号の「松田一橘の言語教育」をあげることができる。松田一橘は、従来全く知られていない学校長であり、彼の実績、教育活動については検討されていなかった。本研究では、日本語学校長であった松田の略歴、彼の教育活動を明らかにした。その結果、彼の教育活動が、当時の来日宣教師の動向と関係していたことが判明した。松田の学校経営は、すなわち来日宣教師の日本語教育の要求に応じたものだったのである。大正に入ると、松田の学校を母体として日語学校が設立されるが、この日語学校も宣教師からの要求を受けたものであった。各種学校における学校長の教育は、生徒(宣教師)の要求を直接的に受けて展開していくことがわかった。 もう一つの研究成果は、佐藤尚子・大林正昭編『日中比較教育史』(春風社)の第3章第1節「日本における初等教育」である。本研究では、明治大正期の学校長の教育行政に直接関わる初等教育の制度の歴史について総括した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 竹本英代: "松田一橘の言語教育"英学史研究. 35号. 49-64 (2002)
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[Publications] 佐藤尚子, 大林正昭編: "日中比較教育史"春風社. 273 (2002)