2002 Fiscal Year Annual Research Report
二つのMAPキナーゼ(Hog1及びMpk1)の拮抗作用による細胞周期制御
Project/Area Number |
01J09026
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
下向 敦範 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | MAPキナーゼ / Ca^<2+>情報伝達経路 / 細胞周期 / 形態形成 |
Research Abstract |
昨年までの結果よりHog1 MAPキナーゼ経路とCa^<2+>情報伝達経路の拮抗的な作用について明らかとする目的で、両経路が関与する増殖制御機構の実体を明らかとするためにHog1欠損株が示すCa^<2+>感受性及び芽の異常極性成長を抑圧する変異株の取得と解析を行った。その結果、G1期からS期の移行に関与する遺伝子WH13を取得している。これらのことより両経路がG2期からM期の移行だけでなくG1期においても作用していることが示唆された。 これらのことをふまえ、両経路がG1期において起きる細胞内イベントに関与するかどうかを解析したところ、Hog1経路とカルシニューリン(CN)を介したCa^<2+>情報伝達経路が出芽において拮抗的に作用していることを新たに見いだした。具体的にどのような点に作用しているか解析したところ、Ca^<2+>-CNの経路は出芽が始まる直前のアクチン細胞骨格の極性化を阻害しており、Hog1経路はその後の出芽を促進するのに重要であることが明らかとなった。現在、さらなる変異株の解析を行い両経路の出芽の制御におけるターゲット分子を同定する予定である。また、昨年見いだしたCa^<2+>-CN-Crz1経路によるHog1経路の阻害のメカニズムについても詳細に解析を行ったところ、Hog1経路の負の調節因子であるPTP2フォスファターゼの転写制御だけでなくHog1経路の上流経路の一つであるSln1経路を阻害していることが示唆された。これらについてもさらに詳細に解析中である。
|