2003 Fiscal Year Annual Research Report
二つのMAPキナーゼ(Hog1及びMpk1)の拮抗作用による細胞周期制御
Project/Area Number |
01J09026
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
下向 敦範 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | MAPキナーゼ / Ca^<2+>情報伝達経路 / 細胞周期 / 形態形成 |
Research Abstract |
本研究により、Hog1 MAPキナーゼ経路とカルシニューリン(CN)を介したCa^<2+>情報伝達経路が細胞増殖において拮抗的に作用していることを新たに見いだした。具体的にどのような点に作用しているかを解析したところ、Ca^<2+>-CNの経路は出芽が始まる直前のアクチン細胞骨格の極性化を阻害しており、Hog1経路はその後の出芽を促進するのに重要であることが明らかとなった。更に,CNの下流の転写因子であるCrz1がHog1経路の上流経路の一つであるSln1経路を介して阻害していることをも発見した。これら二つの新たなる発見を論文にまとめ発表した。さらに、これらの増殖制御機構を解明するために、Δhog1欠損株のCa^<2+>感受性を抑圧する変異株の取得を行ったところ、出芽の異常や細胞周期の遅れを解消する様々な変異株が得られた。それらの株はCa^<2+>感受性だけではなく高浸透圧感受性も抑圧していることがわかり、その中の一つが出芽時期であるG1-S期の移行に重要な働きを持つWHI3遺伝子の変異であることが明らかとなった。WHI3遺伝子はG1サイクリンの負の調節因子であり変異により,G1サイクリンが活性化されていることが考えられる。実際にΔhog1欠損株の高浸透圧感受性はG1サイクリンの高発現により抑圧することがわかり、更なる解析によりHog1経路が高浸透圧ストレス後のG1-S期の移行に重要な働きをしていることが示唆された。
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Research Products
(1 results)