2003 Fiscal Year Annual Research Report
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01J09370
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
眞野 美穂 神戸大学, 大学院・文化学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 状態 / 判断文 / 与格主語構文 / 二重主語構文 / 主語特性 / 持ち主の受身 / 経験 / 「ニトッテ」 |
Research Abstract |
本年度はこれまでの研究のまとめ、そして非規範的構文とその他の規範的構文との関係についての研究を行った。非規範的構文の中では様々な意味的・統語的な差異が観察され、さらに非規範的構文を持つ言語間でもその範囲には差が見られる。これらの差違をとらえる枠組みとしてCroft(2001)の提案するRadical Construction Grammarを用い、非規範的構文の全体像をとらえる概念空間について具体的には以下の研究を行った。 (1)「与格主語構文の構造について-「ニトッテ」との交替現象からの一考察-」 2つの参与者が関わる状態文としての与格主語構文と、自動詞状態文との関係の考察。与格主語構文の中でも判断を表す文は、判断を表す自動詞状態文と意味的に類似しており、任意に判断主を与格または斜格である複合格助詞「-ニトッテ」でも表すことができる。本稿はこの類似した構文の主語特性などの統語特性を分析し、両構文は意味的には類似しているが、統語的には異なることを示した。さらに、与格主語構文として分類される述語では、斜格と交替した場合であっても判断主が主語特性を示していることから、この構造は語彙的に指定されており、斜格との交替は意味の明示化のために起こっていることを主張した。(関西言語学会で口頭発表) (2)「所有関係と非規範的構文について」 所有関係の関わる非規範的構文と持ち主の受身の比較検討を行った。非規範的受身文である「持ち主の受身」に関しては、その機能が「所有者が所有物への影響を通して直接的または間接的に影響を経験することを示す」ことであることを主張し、同様に所有関係が関係する非規範的構文(二重主語構文)においても、身体部位などの分離不可能所有では必ず所有者が直接的に影響を経験すると想定されるため、外置が義務的であるということを示した。このことにより、これら2つの構文には同様に「経験」の有無が重要な要因として働いていることを主張した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 眞野 美穂: "与格主語構文の構造について-「ニトッテ」との交替現象からの一考察-"Proceedings of Kansai Linguistic Society. 24巻(未定). (2004)
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[Publications] 眞野 美穂: "所有関係と非規範的構文について"日本語の分析と言語類型(仮題)(柴谷方良教授還暦記念論集)(影山太郎・岸本秀樹(編))(くろしお出版). (未定). (2004)