2002 Fiscal Year Annual Research Report
エンベロープタンパク質の改変による細胞持異的レトロウイルスベクターの開発
Project/Area Number |
01J09460
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤田 利香 (山本 利香) 筑波大学, 生物科学系, 特別研究員(PD)
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Keywords | レトロウイルスベクター / 標的細胞特異的 / エンベロープタンパク質 |
Research Abstract |
遺伝子治療において遺伝子の運び屋(ベクター)として用いられているものの一つにレトロウイルスベクターがある。レトロウイルスベクターを用いる利点は、長期的に安定して目的遺伝子を発現することができる、宿主域が広い、遺伝子導入に伴う細胞毒性・細胞障害性が少ない事などがある。逆に欠点としては、非分裂細胞への導入が困難であり、ウイルスの力価(タイター)が低く、挿入変異の問題や、標的細胞特異性が無いことなどがあげられる。これまでに、レトロウイルスベクターに標的細胞特異性を持たせることに成功した例はあるが、そのタイターの低さなどから実用化には到っていない。 本研究では、基礎研究が進んでいるマウス白血病ウイルスを用いて、このエンベロープタンパク質(Env)の改変により、標的細胞に特異的に高い力価で遺伝子導入することのできるウイルスベクターの作成を目的としている。 AIDSを発症させるHIV-1は、CXCR4レセプターを発現しているT細胞に感染する。そこで、マウス白血病ウイルスのEnvタンパク質のレセプター結合ドメインの80番目のアミノ酸部位にCXCR4レセプターのリガンドであるSDF-1をリンカーを介して挿入した、キメラEnvを持つウイルスを作成した。このウイルスは、CXCR4を過剰発現させたヒトの細胞に10Λ4のタイターで感染することができた。また、CXCR4を発現していると言われているヒトの乳癌細胞や、ヒトのT細胞にも同様のタイターで感染が確認できた。 実用化するに当たってはさらにタイターを上げる必要があるため、自己複製可能なキメラEnvウイルスを作成し、このウイルスに変異を促し、タイターの高い変異体を単離する作業を現在進行中である。
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Research Products
(1 results)