2003 Fiscal Year Annual Research Report
エンベロープタンパク質の改変による細胞持異的レトロウイルスベクターの開発
Project/Area Number |
01J09460
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤田 利香 (山本 利香) 筑波大学, 生物科学系, 特別研究員(PD)
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Keywords | レトロウイルスベクター / 標的細胞特異的 / エンベロープタンパク質 |
Research Abstract |
遺伝子治療において遺伝子の運び屋として用いられているものの一つにレトロウイルスベクターがある。レトロウイルスベクターを用いる利点は、長期的に安定して目的遺伝子を発現する、宿主域が広い、遺伝子導入に伴う細胞毒性・紳胞障害性が少ない事などがある。逆に欠点としては、非分裂細胞への導入が困難であり、ウイルスの力価(タイター)が低く、挿入変異の問題や、標的細胞特異性が無いことなどがあげられる。これれまでに、レトロウイルスバクターに標的細胞特異性を持たせることに成功した例はあるが、そのタイターの低さなどから実用化には到っていない。 本研究では、基礎研究が進んでいるマウス白血病ウイルスを用いて、このエンベロープタンパク質(Env)の改変により、標的細胞に特異的に高いタイターで遺伝子導入することのできるウイルスベクターの作成を目的とした。 HIV-1は、CXCR4レセプターを発現しているT細胞に感染する。そこで、マウス白血病ウイルスのEnvのレセプター結合ドメインのPro-79部位にCXCR4レセプターのリガンドであるSDF-1を挿入した、キメラEnvを持つウイルスを作成した。このウイルスはCXCR4を過剰発現させたヒトの細胞に10∧4のタイターで遺伝子導入することができた。CXCR4は、各種マウスレトロウイルスの本来の染色受容体と同様、複数回膜貫通型であると同時に、HIVの感染共受容体でもある。そこで、次に、複数回膜貫通型の膜蛋白質であるが、HIVの共受容体ではないケモカイン受容体CCR7が、マウスレトロウイルスの感染受容体として機能しうるか杏かを調べた。この研究には、CCR7に結合するケモカインであるCCL19およびCCL21をPro-79部位に挿入したキメラEnvを作製し、これらのキメラEnvを持つレトロウイルスペクターのCCR7経由での遺伝子導入能を調べた。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Katane M, et al.: "An essential role for the His-8 residue of the SDF-1a-chimeric, tropism-redirected Env protein of the Moloney murine leukemia virus in regulating postbinding fusion events."J Gene Med.. 6(in press). (2004)