2002 Fiscal Year Annual Research Report
人工衛星データと流跡線解析を用いた極域成層圏オゾン減少の定量化とメカニズムの解明
Project/Area Number |
01J09664
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
寺尾 有希夫 筑波大学, 地球科学系, 特別研究員(PD)
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Keywords | 大気化学 / 成層圏 / 物質循環 / 流跡線解析 / オゾン層破壊 / 人工衛星観測 / 改良型大気周縁赤外分光計 / 極域気候変動 |
Research Abstract |
前年度までの解析をさらに進め,流跡線解析に基づき,改良型大気周縁赤外分光計(ILAS)が観測した空気塊が大気の風速場で移流し,異なる場所,異なる時刻に再びILASにより観測されるような事例を多数求め,この移流の間に起きたオゾン濃度の時間変化を詳細に調べた.この手法の妥当性(同一空気塊の保証)を確認するために,極渦の解析と併せて,ILASの観測空気塊の大きさを考慮した空気塊の移動を複数の前方・後方流跡線解析により調べた.前年度までに行ったこれらのILASを用いた解析を、他の人工衛星データPolar Ozone and Aerosol Measurement(POAM)II/IIIデータに拡張し,1994年から2000年の各冬期北極におけるオゾン変化率を定量化した.また、同時に測定されたエアロゾル消散係数データを用いて極成層圏雲の発生量を見積もり,オゾン減少と極成層圏雲の関係と,その経年変動を明らかにした. これらの研究から得られた,1997年冬期北極域でILASによって観測された成層圏オゾンの精緻な減少量,ならびにPOAM II/IIIデータから得られた1994年から2000年のオゾン減少量に関する考察は,研究代表者によって,平成14年9月にスウェーデンで行われた第6回欧州成層圏オゾンシンポジウム(Sixth Symposium on Stratospheric Ozone)と、日本気象学会春季大会(平成14年5月さいたま)ならびに秋季大会(平成14年10月札幌)で発表された他,国際的な学術雑誌であるJournal of Geophysical Research誌12月号で印刷出版された.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Yukio Terao, et al.: "Stratospheric ozone loss in the 1996/1997 Arctic winter : Evaluation based on multiple trajectory analysis for double-sounded air parcels by ILAS"Journal of Geophysical Research. Vol.107, D24. Doi:10.1029/2001JD000615 (2002)