2002 Fiscal Year Annual Research Report
パルボウイルスゲノム産物と宿主因子の相互作用と生理機能の解析
Project/Area Number |
01J09672
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大島 隆幸 京都大学, ウイルス研究所, 特別研究員(PD)
|
Keywords | パルボウイルス / 転写 / 調整タンパク質 / 分子生物学 |
Research Abstract |
DNAウイルスの中でそのゲノムサイズが最小であり、扱いが比較的容易であるマウスのパルボウイルスMVMを用いた研究は遺伝子発現をはじめとする生命現象の根本を理解することに寄与するとともに、ヒトを含めたパルボウイルス感染症の診断・治療法の進展に重要である。特に感染初期に発現するNS1とNS2の機能は、ウイルス粒子の産生に必須であり、ウイルス感染によって引き起こされる細胞傷害や多様な疾病との関連に興味が持たれている。これまでにNS1の過剰発現は、細胞傷害性、特にその影響は腫瘍細胞に顕著(oncolytic effect)なことが明らかとなっており、oncolytic effect機構やウイルス感染によって引き起こる疾病の発症機序解明にも重要な知見を与えるものである。 昨年度、転写因子であるNS1は、様々な転写活性化因子の共役因子として機能するCBPと相互作用し、自身の遺伝子発現を活性化すること、これにより癌抑制遺伝子であるp53の転写能に対しては、CBPの競争阻害によって抑制的に作用することを報告した。そして今年度、ここで得られた知見をインスリン応答性型転写因子であるFKHRとCBPの相互作用と機能解析に発展させ、CBPによるFKHRのアセチル化により、その転写活性化能は著しく抑制されることを見い出している。これらの研究結果は、現在学術論文として投稿中である。
|