2002 Fiscal Year Annual Research Report
多抗原型共存下の感染動態を予測する数理モデルの研究
Project/Area Number |
01J09862
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
加茂 将史 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | epidemic model / SIR / seasonality / chaos |
Research Abstract |
疫学の動態モデルとしてSIRモデルが用いられる。インフルエンザやエコー型ウィルスのように、明らかに季節ごとに感染個体数が振動している病原体の動態においては、感染率に季節変動を考慮したSIRモデルが用いられ、変動の強さと動態の関連が大いに調べられている。 季節振動を伴うSIRモデルは変動が強くなるに従い、感染者の動態がカオス的になり、またカオスに行き着くまでに、多くの分岐構造があることが一般的に調べられている。 この分岐構造は、SIRモデルそのものが持つ、内部の振動、および外部からの季節振動の関連によって生じることは明らかであるが、非線形の効果が非常に強く、振動が小さい時を除けば、はっきりとはわからない。 本年度は英国、スターリング大学において、分岐構造に付いての知識が豊富である、グリーンマン教授と共同研究を行い、主にコンピューターシミュレーションを用いてSIRモデルの分岐構造を詳しく調べた。 結論は、分岐には旧来から知られているような、ホップ分岐がある。さらに、新たな周期が何の脈絡もなしに突然現れるという、サドルノード分岐があることがわかった。またサドルノード分岐は、振動性が強くなるに従い、2年、3年、4年周期と順次現れることがわかった。また、これらの周期をもたらす軌道は、カオス軌道と同じ振動の強さで共存しており、一般的な性質として新たな周期が加わったときに、カオス軌道が消滅、つまりカオスの窓が現れることがわかった。 この研究はPhysica Dに投稿中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Masashi Kamo, Akira Sasaki: "The effect of cross-immunity and seasonal forcing in a multi strain epidemic model"Physica D. 165. 228-241 (2002)
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[Publications] Masashi Kamo, Stefano Ghirlanda, Magnus Enquist: "The evolution of signal form : effects of leaned versus inherited recognition"Proceeding Royal Society London Ser. B. 269. 1765-1771 (2002)