2003 Fiscal Year Annual Research Report
腸間膜微小動脈に高密度に存在する新型カルシウムチャネルの電気生理及び薬理学的研究
Project/Area Number |
01J09964
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森田 浩光 九州大学, 大学院・医学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 血管平滑筋 / イオンチャネル |
Research Abstract |
今年度は、ラット腸間膜動脈からcDNAライブラリーを作成し、新型カルシウムチャネルの遺伝子クローニングを試みた。この計画に先立ち、新型カルシウムチャネルに類似した急速不活性化型の既知の電位依存性カルシウムチャネル遺伝子(α1E,α1G,α1H,α1I)について、ラット腸間膜動脈最終分岐部より採取した全RNAを用いてRT-PCRを行った結果、α1G及びα1Hのバンドが検出された。recombinantのα1E及びα1Gをbaby hamster kidney(BHK)細胞及びhuman embryo kidney(HEK)細胞に強制発現し、電気生理学的及び薬理学的に新型カルシウムチャネルと比較検討した結果、新型カルシウムチャネルは薬理学的にα1Gに一部類似していたものの、その結果は全て一致するものではなく、また生物物理学的性質(活性化閾値、不活性化時間、チャネルコンタクタンス等)は、似ているとは言い難い結果を得た。また、NIH3T3細胞などの線維芽細胞にα1Gが発現していることはよく知られた事実であり、RT-PCRによって得られたα1G陽性の結果は、血管組織内の線維芽細胞のコンタミネーションか原因ではないかと考えられた。α1Hについては、遺伝子の提供者がなかったことから、電気生理学的及び薬理学的検討はこれまで実現できなかったが、今年度作成したcDNAライブラリーを用いて、さらに遺伝子クローニングを続けていく計画である。以前の国内外のα1Hに関する論文と我々の新型カルシウムチャネルを比較してみると、条件等が異なり直接比較することは困難であるが、活性化閾値は違うものの、CaとBaの透過性などは類似している。こうした背景から、新型カルシウムチャネルはα1Hの血管型のsplice variantである可能性も十分考えられる。 また、昨年度より米国バーモント大学のMark T.Nelson教授との共同研究で開始した、ラット脳血管平滑筋における張力感受性非選択的陽イオンチャネルの研究は、張力負荷により筋小胞体からのカルシウム放出が起き、その結果、細胞内Ca感受性のTRPM4様チャネルが開口し、脱分極を引き起こすことが判明した。このことが電位依存性Caチャネルの開口を促し、更なるカルシウム流入を引き起こすことにより、血管のトーン維持機構が働いていることが示唆された。この結果は現在、投稿準備中である。
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Research Products
(1 results)