2002 Fiscal Year Annual Research Report
カブトガニ顆粒細胞の自然免疫に関与する表面抗原の構造と機能解析
Project/Area Number |
01J10072
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
尾崎 司 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 自然免疫 / カブトガニ / トランスグルタミナーゼ / 表面抗原 / 顆粒細胞 |
Research Abstract |
自然免疫のみを持つ無脊椎動物が脊椎動物と同じ生活環境に適応していることから、無脊椎動物の自然免疫機構は、非常に優れているはずである。無脊椎動物であるカブトガニの生体防御反応、すなわち自然免疫機構は主に顆粒細胞が担っておりその細胞表面には、LPS認識に関する受容体や、感染防御の初期過程に重要な役割を果たす未知の表面抗原が存在していると考えられる。本研究は、顆粒細胞表面抗原のモノクローナル抗体を用いて、自然免疫に関与する表面抗原をクローン化するとともに、最終的には、その構造-機能解析を行うことを目的として行った。 1)顆粒細胞の表面抗原のcDNAクローニングと配列分析 カブトガニ顆粒細胞の主要な表面抗原bands-90, -120を精製した。その部分アミノ酸配列をもとに、プライマーを作製し、カブトガニ顆粒細胞のcDNAライブラリーをスクリーニングし、2種のクローン(proxins-1, -2)を得た。この2種のクローンはプロリン含量が高く(全体の約20%)、51アミノ酸から成る4回の繰り返し配列を持っていた。お互いのアミノ酸配列の配列類似性は66%だった。 2)表面抗原の機能解析 bands-90, -120が、トランスグルタミナーゼの基質として機能していることが、顆粒細胞から精製したトランスグルタミナーゼを用いて明らかになった。面白いことに、トランスグルタミナーゼにより、このタンパク質は凝固タンパク質コアギュリンと架橋され、不溶性の高分子複合体を形成する。トランスグルタミナーゼは細胞内タンパク質だが、LPS刺激で細胞外に分泌あるいは放出されることが分かった。したがって、哺乳類の血液凝固系でフィブリンがトランスグルタミナーゼで架橋されることにより、損傷部位での止血が起るのと同様な機構が、無脊椎動物であるカブトガニでも存在する可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)