2002 Fiscal Year Annual Research Report
音源の指向性を考慮したオーディトリウムの音場評価法
Project/Area Number |
01J10147
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松尾 昌美 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 建築音響 / 室内音響設計 / 音源の指向性 |
Research Abstract |
我が国の高度成長期に数多く建設された市民会館や文化会館と言った多目的ホールは、集客能力が低迷し運営が困難になっている。これらを個性あるホールへリニューアルするためには、演奏形態に対応した音響設計が必要である。そのためには、"楽器の指向性"を考慮することが必要と考えられる。以上の観点から、本研究の目的は、音源の指向性が室内音場に及ぼす影響について研究し、音源の指向性を考慮したオーディトリウムの音場評価法を提案することである。 本年度は、これまでの研究結果を総括し、音源の指向性を考慮したオーディトリウムの音場評価法を提案した。 まず、幾何音響シミュレーションによって、音源の指向性の違いが音場の物理特性に与える影響について検討し、音源の特性を考慮することがコンサートホール音場の評価に重要であることを示した。 次に、弦楽器の3次元的指向特性を測定し、この結果を基に音場測定用の指向性音源スピーカを開発し、この指向性音源と従来から用いられている無指向性音源を用いて実際のコンサートホールの音響測定を行い、両音源による物理量の差異から音源の特性を考慮することがコンサートホール音場の評価に重要であることを再検証した。 このような結果を踏まえて、音響設計を行う際に音源の指向性をどのように取り込むかについて検討し、弦楽四重奏によるコンサートホールの音場を最も良く近似できる単一指向性音源モデルを提案した。 以上より、音場の物理特性に大きな影響を及ぼす音源の指向性を考慮するために、音響測定用指向性音源を開発し、弦楽四重奏用の単一指向性音源モデルを導出して、音源の指向性を考慮したオーディトリウムの音場評価法を提案した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 松尾昌美, 古屋浩, 藤本一壽: "音源の指向性が室内音場評価に与える影響 -幾何音響シミュレーションによる検討-"都市・建築学研究(九州大学大学院人間環境学研究院紀要). 2. 109-117 (2002)
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[Publications] 松尾昌美, 古屋浩, 松本一壽: "音源の指向性が室内音場評価に与える影響 -既存ホールの実測による検討-"都市・建築学研究(九州大学大学院人間環境学研究院紀要). 3. 111-116 (2003)
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[Publications] 古屋浩, 松尾昌美, 藤本一寿: "音源の特性を考慮した室内音場評価法に関する研究 第6報 実音場測定による検討"九州共立大学工学部研究報告. 27(in press). (2003)
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[Publications] 松尾昌美, 古屋浩, 藤本一寿: "音源の指向性が室内音場評価に与える影響 -幾何音響シミュレーションによる検討-"日本建築学会環境系論文集. 566(in press). (2003)