2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J10299
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
迫田 憲治 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 不斉分子 / 多光子イオン化分光法 / 蛍光分光法 / 飛行時間型質量分析計 / 分子間相互作用 / クラスター / 高分解能光電子分光法 / 蛍光分光法 |
Research Abstract |
分子不斉の研究は,生体中における酵素反応の高度な分子認識の解明や不斉合成反応機構の解明のために非常に重要である.そこで本研究では,分子線中に不斉分子クラスターを生成させ,様々な分光法を適用することによって,不斉分子間相互作用を微視的なレベルで詳細に研究することを計画した. 昨年度自作した装置を用いて,2-アミノピリジン(2-AP)及び2-AP-水クラスターの質量選別多光子イオン化励起スペクトル,レーザー誘起蛍光励起スペクトル,及び分散蛍光スペクトルの測定を行なった.また,密度汎関数法理論計算を行ない,実験により得られた実測値と理論計算の結果を比較した.その結果,2-AP-水1:1クラスターの幾何構造を決定した.また,分散蛍光スペクトルの解析,及び密度汎関数法により計算されたポテンシャルエネルギー曲線の解析から,2-AP-水1:1クラスターには,キラリティが発生していることが明らかになった.2-AP及び水には,キラリティが存在しないのは明らかであることから,上記の結果は,アキラルな(キラルではない)分子が分子集合体を形成することによってキラリティが発生しうることを示す非常に重要な結果である. また,パルス電場イオン化ゼロ運動エネルギー光電子分光(PFI-ZEKE光電子分光)の測定を行なうため,昨年度自作した飛行時間型質量分析計の改良を行なった.改良した装置の性能を調査するため,直鎖ポリエンのPFI-ZEKE光電子スペクトルの測定を行ない,装置がPFI-ZEKE光電子分光を行なうのに十分な感度を有していることを確認した. 2-AP-水1:1クラスターは,カチオン電子基底状態ではキラリティが消失していると予想されることから,今後は改良した装置を用いて,2-AP-水1:1クラスターのPFI-ZEKE光電子スペクトルの測定し,また高精度の量子化学計算によるポテンシャルエネルギー曲線の解析を行なうことによって,クラスターの電子状態の違いによるキラリティの有無について調査していく予定である.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 迫田 憲治: "Simultaneously two-and three-photon absorption PFI-ZEKE photoelectron spectroscopy of linear polyene"Physical chemistry chemical physics. (In press). (2003)
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[Publications] 迫田 憲治: "Pulsed field ionization-ZEKE spectroscopy of 4-aminobenzonitrile-H2O. Hydrogen-bonding interaction in the amino site"Physical chemistry chemical physics. (In press). (2003)
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[Publications] 迫田 憲治: "IR-dip and IR-UV hole-burning spectra of jet-cooled 4-aminobenzonitrile-(H2O)1. Observionat of p-type and s-type hydrogen-bonded conformers in the CN site"Chemical Physics, special issue. 283. 209-219 (2002)