2002 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ分子集合体を用いるタンパク質の高効率リフォールディング法の開発
Project/Area Number |
01J10359
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
迫野 昌文 九州大学, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 逆ミセル / タンパク質リフォールディング / RNaseA / インクルージョンボディ |
Research Abstract |
本研究の目的は、従来の変性タンパク質リフォールディング法に変わる新規のリフォールディング法を創設することにある。希釈法に代表する従来法では、一度に処理可能な変性タンパク質が少量であり、工学的なスケールアップが困難であった。 そこで本研究では、「逆ミセル」を媒体とした高濃度リフォールディング法を確立することを目的とした。逆ミセルは有機溶媒中で構成されるナノスケールの分子集合体であり、界面活性剤と微量水により自発的に集合化する性質がある。微量水は逆ミセル内部に存在し、有機溶媒中に水溶性物質を溶解する際に有効である。そこに、変性タンパク質を溶解し、リフォールディング操作を施すことで、タンパク質間の相互作用を抑えてタンパク質高濃度下での操作が可能となる。実際、これまでもいくつかのタンパク質において有用性が認められており、本手法の更なる一般化を求めて、インクルージョンボディへの適応も視野に入れている。 これまでに、大腸菌によるタンパク質発現系を組み、実際に凝集型RNaseAの回収を行い、逆ミセル系への適応を検討し、凝集タンパク質の可溶化、及び高度にタンパク質間の相互作用を抑え再凝集を防ぐなど、良好な結果が得られている。また、逆ミセル中にフォールディング補助タンパク質を溶解し、フォールディング促進効果を期待したところ、添加系において驚くべき速さでフォールディングが完成することも明らかとしている。今後、これまでのミセル系とは違う構成物においてタンパク質再生の詳細な検討を測っていく予定だ。
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