2003 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ分子集合体を用いるタンパク質高効率リフォールディング法の開発
Project/Area Number |
01J10359
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
迫野 昌文 九州大学, 工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | インクルージョンボディ / 逆ミセル / リフォールディング / RNase A / 分子シャペロン / 非イオン性界面活性剤 / carbonic anhydrase B |
Research Abstract |
大腸菌などの宿主から得られるタンパク質は、インクルージョンボディと呼ばれる不溶で不活性な凝集体として回収されることが多い。工業的に用いられている希釈法は、タンパク質変性作用を持つ化合物を用いてインクルージョンボディを可溶化した後、リフォールディング緩衝液中に希釈し、タンパク質の自発的な再生を促す手法である。この手法は高いタンパク質濃度では分子間相互作用に伴うタンパク質の凝集化が起こるため、現在、数十〜数百倍もの希釈が必要となっている。 本研究では再生媒体として逆ミセルを用いたタンパク質リフォールディングを検討した。逆ミセルは、両親媒性の界面活性剤分子が、微水存在時に有機溶媒中で形成するナノスケールの分子集合体である。両親媒性物質である界面活性剤を添加すると、水分子が界面活性剤の親水部に保護され一定の分子集合体構造となる。逆ミセルは、水を核とした球状のナノ集合体であり,内水相と呼ばれるナノスケールの水空間を有している。逆ミセル内水相のサイズはタンパク質一分子のそれと近似していることから、逆ミセルの内核水相に保持されたタンパク質はナノ集合体中に個々隔離され、タンパク質同士の再凝集を防ぐことができる。 逆ミセルを形成する界面活性剤として親水部がアニオン性であるDi-2-ethylhexyl sullfosuccinate sodium salt(AOT)を用いて変性RNaseAのリフォールディングを行った。時間と共に逆ミセル中でRNaseAの活性が回復していることが活性測定よりわかった。また、逆ミセル法が同スケールの希釈法に対してはるかに効率が高いことを示すことができた。更にフォールディング補助タンパク質GroELを添加することで再生速度の短縮に成功した。他に、RNaseA以外のタンパク質cytochrome cやcarbonic anhydrase Bにおいても応用可能であることを示した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] M.Sakono: "Protein refolding in nanostructured reversed micelles including a molecular chaperone"Journal of Biotechnology and Bioengineering. 96(3). 275-278 (2003)
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[Publications] 河島 優美: "ナノ集合体の孤立空間を利用した変性タンパク質の高効率リフォールディング"膜(Membrane). 28. 29-36 (2003)
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[Publications] 迫野 昌文: "逆ミセルによるインクルージョンボディのフォールディング"化学工学論文集. (In press). (2004)
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[Publications] M.Sakono: "Refolding of denatured carbonic anhydrase B by reversed micelles formulated with nonionic surfactant"Biochemical Engineering Journal. (In press). (2004)
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[Publications] 後藤 雅宏: "ナノ集合体の孤立空間を利用したタンパク質のリフォールディング「ナノバイオテクノロジーの最前線」"シーエムシー出版. 10 (2003)