2002 Fiscal Year Annual Research Report
Arthromyces ramosus peroxidaseの反応機構の解明
Project/Area Number |
01J10374
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
野中 大輔 九州大学, 大学院・農学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ペルオキシダーゼ / 過酸化水素の活性化 / アルギニン残基 / ヘムタンパク質 / 大腸菌発現系 / 巻き戻し / 担子菌 / ヒトヨタケ |
Research Abstract |
平成14年度はまずArthromyces ramosus peroxidase (ARP)の大腸菌による発現系、in vitroでの巻き戻し過程のさらなる高収率、簡便化について検討を行った。前年度に構築した発現・巻き戻しの系では得られた封入体からの活性型酵素の回収率が1%に満たなかったが、今回、大腸菌によって発現した封入体の回収の効率化、ジスルフィド結合形成のための酸化還元試薬の最適値の決定などにより回収率は3%程度へと増加した。一般にペルオキシダーゼの巻き戻し効率は低いことが知られており、ARPと同様に担子菌(キノコ)から得られるペルオキシダーゼの活性回復率も同様に低いことが知られている。現在、大腸菌培地1L中から約10mgの酵素が得られており、通常の方法でキノコから単離する場合の2.5倍程度の量が得られた。また、操作に要する時間も大幅に短縮できることから、酵素を得るためには有用な系であることが示された。 また、大腸菌により発現したリコンビナントARPと担子菌より得られる野生型ARPの電子吸収スペクトル、ストップドフロー装置を用いた速度論的解析などにより比較検討を行ったところ、両酵素にほとんど差異がないことも確認した。つまり、野生型に見られる糖鎖修飾などがARPの活性発現に影響を及ぼさないことが示された。 さらに、実験計画に則し、活性部位近傍のアルギニン残基の部位特異的変異体をPCRを用いた手法にて作製し、シーケンサーにて配列を確認後、上記と同様に大腸菌による発現・in vitroでの巻き戻しを行った。現在、このアルギニン残基変異体について解析を行っている。
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