2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J10501
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小関 右介 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 生活史変異 / 森林-河川環境 / 海洋環境 / 早熟雄 / 成長 / 体サイズ / サクラマス / ギンザケ |
Research Abstract |
サケ科魚類の雄に生じる生活史二型の個体群間変異,およびそれに与える森林-河川環境変動の影響を明らかにするために,以下の調査と分析を行った。 北海道大学北方生物圏フィールド科学センター雨竜地方研究林内の3つのサクラマス個体群(美深越沢川、泥川、およびモシリウンナイ川)で以下の野外調査を行った。すなわち,(1)成長期(6月)における個体群密度と個体の摂餌量(胃内容物)の評価,および(2)繁殖期(9月)における早熟な河川残留型雄の密度推定である。これらのデータ収集と平行して,昨年(2001年)の胃内容物サンプルの分析とデータ入力を行った。この胃内容物データと採集時期,個体群,および個体のサイズとの関係について,今後データ解析を進めていく。 サケ科魚類の生活史二型は,森林-河川環境以外の影響も受けるかもしれない。この可能性を明らかにするため,サクラマスの近縁種であるギンザケにおいて以下の解析を行った。アメリカオレゴン州の12の孵化場において,1975年から1997年までに放流・再捕獲された個体のデータを入手した。海洋での成長率(瞬間成長率)が早熟雄の出現頻度に与える影響を,放流時の体サイズと放流時期の影響とともに評価した。孵化場ごとに予備的な回帰分析を行った結果,海洋での瞬間成長率を含むいずれの要因も早熟雄の出現率には強く影響しないことが示唆された。ただし,この予備的な結果は,上にあげた複数の要因および個体群の影響を同時に扱うより精密なモデルを用いて詳しく検討する必要がある。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Koseki, Y., K.Maekawa: "Differential energy allocation of alternative male tactics in masu salmon Oncorhynchus masou"Canadian Journal of Fisheries and Aquatic Sciences. 59. 1717-1723 (2002)