2002 Fiscal Year Annual Research Report
食植性昆虫の配偶者選択〜体型の差異が生殖的隔離機構として働く可能性の追求
Project/Area Number |
01J10530
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤山 直之 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 配偶者選択 / 体サイズ / FA(Fluctuating Asymmetry) / ヤマトアザミテントウ / エゾアザミテントウ / ルイヨウマダラテントウ |
Research Abstract |
本研究は3種の近縁な食植性テントウムジ(ヤマトアザミテントウ、エゾアザミテントウ、ルイヨウマダラテントウ)を材料とし、各種内での配偶者選択における体サイズや体型(FA : fluctuating asymmetry;対称性のゆらぎ)に関する好みが種間の生殖的隔離機構として働く可能性を追求することを目的としている。研究2年目にあたる本年度は、昨年度に引き続き各種内における配偶者選択の傾向を吟味するとともに、ヤマトアザミテントウとルイヨウマダラテントウの雑種も対象に含め、主に下記の2点について野外調査および室内実験をおこなった。 1.体サイズ・体型の差異が配偶者選択に及ぼす影響 2.体サイズ・体型と雌雄の繁殖能力(寿命・産卵数)との関係 データは現在解析中であるが、ヤマトアザミテントウに関しては上記1に関して以下の結果が得られたので日本昆虫学会第62回大会において成果を公表した。 1-(1).交尾ペア内では雌雄のサイズの間に正の相関は検出されなかった。また、交尾ペアと単独個体のサイズの分散と平均を比較した場合、特定のサイズを持つ個体が交尾しているという傾向は無かった。 1-(2).交尾ペア内ではFAの絶対値が小さい個体同士が交尾しているという傾向は無かった。また、交尾ペアと単独個体のFAの絶対値の分散にも差が認められず、FAの絶対値が小さい個体が頻繁に交尾しているという傾向は無かった。 以上の結果は、ヤマトアザミテントウでは配偶者選択が体サイズやFAとは無関係に為されていることを強く示唆している。このことの解釈の一つとして、前年よりの越冬の際に適応度の低い個体があらかじめ集団から除去されている可能性が考えられたため、野外集団の体サイズとFAの継続的なモニタリングおよび半野外条件下での越冬実験を現在遂行中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Fujiyama, Naoyuki: "Host plant suitability of Solanum japonense (Solanaceae) as an alternative larval food for three closely related Epilachna ladybird beetles (Coleoptera : Coccinellidae)"Applied Entomology and Zoology. 37・4. 551-557 (2002)
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[Publications] Fujiyama, Naoyuki: "Insects visiting extrafloral nectaries of Ipomoea carnea (Convolvulaceae) in Lombok, Indonesia, its introduced locality"Natural History Bulletin of Ibaraki University. 6. 3-5 (2002)
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[Publications] Fujiyama, Naoyuki: "Conspecific thistle plant selection by a herbivorous ladybird beetle, Epilachna pustulosa"Entomologia Experimentalis et Applicata. (受理済み). (2003)