2002 Fiscal Year Annual Research Report
河川食物網における上位および中間捕食者の複合的生態機能の実験的検証
Project/Area Number |
01J10537
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
宮坂 仁 総合地球環境学研究所, 特別研究員
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Keywords | 湖生態系 / バイカル湖 / 安定同位体 / 食物網 / 複合的生態機能 / 上位捕食者 / 中間捕食者 / 河川生態系 |
Research Abstract |
平成14年度(学振2年目)から食物網における捕食者の生態機能を検証するフィールドを日本国内の河川からロシアのバイカル湖沿岸とその流入河川へと拡大した。河川生態系よりも空間スケールの大きな湖生態系を取り扱うことにより、一般的な科学結論を導くことができるとの判断でフィールドを変更した。 捕食者-被食者関係や食物網動態を扱うときには、従来、直接採餌観察または消化管内容物の同定といった方法が主流であった。しかし、昨年度より自然安定同位体比を用いた新たな捕食者-被食者関係、食物網動態を描く手法を学んだ。食物網の生態機能をより効率良く計測でき、より一般的な議論が可能となる新たな分析手法である自然安定同位体精密測定法を京都大学生態学研究センターおよび総合地球環境学研究所にて取得した。この新たな手法を用いて、バイカル湖沿岸および流入河川にて食物網を軸とした生物群集の構造とその生態系内での機能を検討した。その結果として、食物網のメンバーは同じであっても、成長により、または季節により窒素および炭素の同位体比も大きく変動することを明らかにした。 新たな野外調査地であるバイカル湖において、ロシアではイルクーツクにあるロシア科学アカデミー陸水学研究所と共同研究をすることで、様々な研究に関する援助をしていただいた。平成14年度は5ヶ月わたる長期滞在により、数多くの調査地点にて標本の採集を行い、その標本を現在に日本に持ち帰り、京大生態学研究センターの施設において分析を行っている。 ロシア滞在中の10月に陸水学研究所主催の第3回古代湖会議が開催され、本研究課題の一部を発表した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Miyasaka, H., M.Genkai-Kato, N.Kuhara, S.Nakano: "Predatoy fish impacts on the competition between stream insect grazers"Oikos. (in press). (2003)
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[Publications] Miyasaka, H., S.Nakano, T.Furukawa-Tanaka: "Food resource divergence between white-spotted charr and masu salmon in Japanese mountain streams"Limnology. (in press). (2003)