2002 Fiscal Year Annual Research Report
環状糖脂質カロニクチンAの植物生長促進メカニズムの解明
Project/Area Number |
01J10553
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
古川 潤一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | カロニクチンA / 樹脂配糖体 / 糖脂質 / 植物生長促進物質 / グルクロン酸 |
Research Abstract |
本研究は、樹脂配糖体の植物生長調節作用に着目し、様々な誘導体の合成法の開発および生理活性機構の解明を目的として行われた。樹脂配糖体に見られる共通の特徴はアグリコン部のカルボキシル基と糖水酸基の一つがエステル形成しマクロラクトン環を有する点であり、このマクロラクトン構造が活性発現に必要不可欠であることが報告されている。昨年度の研究において分子内グリコシル化による効率的なマクロラクトン環の形成法を開発したが、様々な誘導体を合成するためには、より簡便な糖鎖構築法が必要不可欠である。すでに、チオトルイル基を有する様々な糖供与体ついてはプログラム化され、One-Potグリコシル化法に利用可能であるが、グルクロン酸を利用した例は報告されていない。グルクロン酸は重要な生理活性糖鎖に数多く含まれており、また6位にカルボキシル基を有するため、蛍光物質などの選択的な修飾が可能である。そこで、グルクロン酸の合成法について検討した。 常法に従いグルクロン酸へのチオトルイル基の導入を試みたが、アノマー位の制御が不可能であったため、ブロモ化を経由して、選択的にβ-チオグリコシドを調製した。次に数種の活性化剤を用いてグリコシル化反応を行ったが、反応はまったく進行せず、原料のみが回収された。そこで3,6ラクトンへと変換し、同様の条件でグリコシル化を行ったところ、目的とする二糖は得られなかったが糖供与体の加水分解が観測された。現在、これらの糖供与体の保護基の変換および活性化剤の探索を行っている。 このグリコシル化法を解明は、様々な誘導体を合成するための重要な鍵中間体であり、またヘパリンなどの生理活性糖鎖を合成する上で重要であると考えられる。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] S.Kobayashi, J.Furukawa, T.Sakai, N.Sakairi: "Preparation and diastereomeric separation of an (S)-and (R)-1-(methoxycarbonyl)tridec-10-yl glucoside derivative, a precursor for a monosaccharide constituent of resin glycosides"Carbohyr.Res.. 337. 1047-1053 (2002)
-
[Publications] Qingping Liu, Eiji Matsuura, Kazuko Kobayashi, Jun-ichi Furukawa, Junko Inagaki, Keiko Kaihara, Junko Kasahara, Nobuo Sakairi, Tatsuji Yasuda, Dennis R. Voelker, Takao Koike: "Carboxyl variants of cholesterol ester, as a ligand for 2-glycoprotein I, mediates antibody-dependent uptake of oxidized LDL by macrophages"J.Lipid Res.. 43. 1486-1495 (2002)