2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J10613
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
千葉 晋 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 環境性決定 / 個体群動態 / 個体群構造への漁獲の影響 / 漁業資源 / DNA多型解析 / プライマー |
Research Abstract |
本年度の研究の目的は,能取湖(網走市)での1.野外調査と2.飼育実験,さらに,アメリカでの3.飼育・遺伝子実験の大きく3つから構成された。 1.能取湖での野外調査 ここでは主にホツカイエビの1).個体群動態,2)個体群構造の変動における漁獲圧の影響を調べた。 1).調査解析の結果,ホツカイエビの個体群の動態は,次世代の子供を産む雌の数と,0才個体の生存率によって大きく影響されることが示唆された。次年度に予定されているシミュレーションにより,より正確な変動の予測が可能になると考えている。 2).漁獲圧の影響調査は2年前から継続しており,昨年同様,漁獲はホッカイエビ個体群の構造(性比・年令組成)にもっとも大きな影響を与えると考えられた。特に本年度の漁獲によってホッカイエビ漁業は深刻な事態に陥った。これまでの調査から漁期直前に資源動態を予測し,本年は禁漁が妥当とした。しかし,漁業が実行されてしまったため,エビ資源量は劇的に減少してしまった。これは,これまで私が行ってきた調査結果,およびそのデータの信頼性を裏付けることになった。来年度以降は,漁業者と協力し合い,資源回復計画を実践する。 2.能取湖での飼育実験 本実験ではホッカイエビの性決定機構の解明を目的としていた。実験は昨年度から継続しており,本年度秋に終了したところである。このエビの性決定には環境要因と遺伝要因の相互作用が示唆された。実験結果はDNA多型解析によって検証されるが,本年度は,その解析に必要となるマイクロサテライト領域を2つ特定(プライマーの作成)することができた。さらに3つ以上のプライマーを作成次第,DNA多型解析を行う。 3.アメリカでの飼育・遺伝子実験 平成14年の8月からニューヨーク州立大学のDO Conover教授の下で,上記実験解析の継続を行っている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 千葉 晋: "ホッカイエビにみられる環境に応じた性転換-産業有用種の生活史変異と漁業の関係-"うみうし通信. 36. 4-5 (2002)
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[Publications] 千葉 晋: "甲殻類の性転換"日本水産学会編・水産生物の性と行動生態 (恒星社厚生閣). (印刷中).
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[Publications] 千葉 晋: "エビ類にみられる雌雄同体現象"朝倉彰編・甲殻類学 (東海大学出版会). (印刷中).
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[Publications] Chiba, Susumu: "Male-male competition selects for delayed sex change in the protandrous pandalid shrimp Pandalus latirostris"Marine Biology. (印刷中).