2003 Fiscal Year Annual Research Report
農業生産技術の情報交流による学習効果と地域情報システム構築に関する研究
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01J10627
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
桟敷 孝浩 北海道大学, 大学院・農学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 技術情報 / 反応関数 / 精密農法 / 評点法 / リアル・オプション分析 / 意思決定 |
Research Abstract |
今年度の研究成果は,以下の3点にまとめられる。 1.農業生産の技術情報は,最適な投入量及び収益を達成する上で非常に重要である。コシヒカリ直播の「精密農法」に関する実証圃場データからタイプの異なる反応関数を計測し,その結果を比較検討した。さらに,計測結果と圃場の地力データからシミュレーションモデルを作成し,地力ムラに応じた可変施肥の効果を明らかにした。計測の結果,Quadratic, Quadratic Square root, Bondorff型といった多項式と,指数関数,Transcendentalとでは異なる傾向を示した。可変施肥の効果の割合は,増収効果よりも施肥量削減の効果の方が大きいことが明らかとなった。 2.タイプの違う2集落を対象に営農意向のアンケート調査を実施し,それをもとに3段階評価による評点法により集落の意思を集計した。さらに分析結果とその後の集落の動向を比較することで,評点法による集落の意思決定支援の可能性を検討した。分析結果はその後の2集落の動向をよく表していた。この方法が現場における意思決定の改善に貢献できる可能性は大きいと考えられる。 3.農家は生産技術の情報が不完全であり,生産技術のリスクに直面している。そのような中で,どのようなタイミングで新技術を導入すべきか,どういった投資レベルでの地域情報システムを構築すべきかを明らかにする必要がある。その場合の新たな実証手法としてリアル・オプション分析の適用可能性を検討した。また,地域情報システムの構築にはインターネット等のパソコンを利用した,国,都道府県レベルの情報システムが整備され,新しい形の農業技術情報の提供がなされている。地域の関係機関が,いかにして農家に実践的なパソコン利用の指導を図り,国,都道府県レベルの農業技術情報を,地域にあった情報に変換し提供していくのかという,新しい情報共有のあり方を検討した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 工藤卓雄, 桟敷孝浩, 向井俊忠: "評点法による集落の意思決定支援の可能性"農業経営研究. 第42巻第1号(受理済み). (2004)
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[Publications] 工藤卓雄, 国立卓生, 桟敷孝浩: "反応関数による地力ムラに応じた施肥効果の計測"農業経営研究. (受理済み). (2004)