2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J10683
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
明 孝之 北海道大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 不安定核 / 中性子ハロー |
Research Abstract |
1.拡張された^9Li+n+n 3体模型による^<11>Liの基底状態の解析 中性子ハロー核の雛型である^<11>Liの弱結合構造を、我々は3体模型に基づいて解析した。本研究の特色として、(1)中性子対相関の自由度を新たに^9Liにも考慮し、3体模型を拡張する。結果、外殻中性子と9Li内の中性子間の結合が^<11>Liの結合機構に重要であることが判明した。(2)併せて、未だに不定性の多い^9Li-n間の相互作用について、テール部分の振舞いの重要性も指摘した。この2要素を取り入れた結果、我々は^<11>Liの弱結合構造を部分系である^<10>Liと同時に説明することに成功した。本研究の成果は学術雑誌に発表された。 2.^<11>Liのクーロン分解反応の解析 我々は、1.の模型を用いて更に^<11>Liの3体のクーロン分解反応を調べた。クーロン分解反応は、中性子ハロー核に特異な励起状態として予言されているソフト・ダイポール共鳴を調べるのに重要な反応である。実験的には、低エネルギー領域の断面積にピークが見られるなど、特異な構造が観測されている。 本研究の成果としては、確かに低エネルギー領域にピークが見られるが、これはソフト・ダイポール共鳴に対応するものではない。ピークの発現には、^<11>Li→^<10>Li+n→^9Li+n+nの2体を経由する成分に加えて、^<11>Li→^9Li+n+nの3体に直接分解する成分が同程度に寄与していることが判明した。特に後者は、始状態である11Li内の外殻中性子のs波の成分、つまりハロー構造と密接に関わっており、s波の成分が多い程、直接3体分解の成分は増加する。要するに、観測されているピークは、低エネルギーの連続状態の波動関数が空間的に広がっている始状態のハロー構造と強く結合する事から生じるものであり、シキイ値効果と考えられる。 3.成果発表 2002年8月に中国で開かれた少数多体系に関する国際会議(APFB02)、及び11月のベトナムでの不安定核の国際シンポジウム(ISPUN02)において、11Liを中心に我々がこれまで得てきた不安定核の成果について報告した。
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Research Products
(1 results)