2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J10728
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加藤 淳 北海道大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | 波動方程式 / 自己相似解 / Strichartz評価 |
Research Abstract |
非線形項が未知関数uの巾乗,|u|^p(p>1)の形の非線形波動方程式の自己相似解の存在について,非線形項の指数pとの関係に着目して考察した. 自己相似解とは、方程式に由来するスケール変換で不変な時間大域解であるが,その性質から,初期時刻では斉次関数,例えば|x|^<-α>(α>0)のような関数となる.この型の非線形波動方程式に関しては,初期値が滑らかで小さい場合には非線形項の指数pが,p>p_c(n)を満たすとき時間大域解が存在し,1<p【less than or equal】p_c(n)のときは初期値がどんなに小さくても解は有限時間で爆発しうるという空間次元nに依存する臨界指数p_c(n)が存在することが知られている.自己相似解を考察するには,上で述べたように初期値として斉次関数を取り扱う必要があるが,これらは原点で滑らかではないので上記の結果の範疇には入らない.しかし,空間3次元の場合にPecherがp>p_c(3)のときは自己相似解が存在し,1<p【less than or equal】p_c(3)のときは自己相似解が存在しないという類似の結果が成り立つことを示した。 初年度の研究では,上記の空間3次元におけるPecherの結果を初期値に関する球対称性という制限の下で一般次元へ拡張することが出来た.今年度は初年度の結果の初期値に対する球対称性の仮定をはずすことを考察し,空間次元が4以下の場合にはその仮定がはずせることを示すことが出来た. 証明には重み付きストリッカーツ評価と呼ばれる線形波動方程式の解に関する重み付きの時空評価が用いられるが,特に空間積分について曲座標に基づいて軸方向と球面方向の積分に分割して評価することで球対称性の仮定をはずすことができた. 上記の研究にあたり,情報の収集及び結果の取りまとめのため購入したパソコンを有効に活用した.また幅広い知見を得るため及び課題に関する研究打ち合わせのため旅費を使用した.
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