2002 Fiscal Year Annual Research Report
雑種神経細胞株NG108-15を用いた神経突起伸長の制御機構の解析
Project/Area Number |
01J10766
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
戸島 拓郎 東京大学, 医科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 神経突起 / 成長円錐 / アクチン線維 / カルシウム / アクチン後方移動 / 微小管 |
Research Abstract |
本年度は,神経回路形成における最も重要な現象の一つであるニューロンの神経突起形成・伸長制御機構について,特に神経突起形成・伸長の直接的な牽引力を提供する細胞骨格アクチン線維の動態に着目して解析した。 生きた細胞内におけるアクチン線維の動態を可視化するために,Fluorescent Speckle Microsoopy (FSM)を適用した。FSMとは,蛍光標識された細胞骨格分子を少量細胞内に導入することで細胞骨格の動態を解析する方法である。標識分子は内在性の細胞骨格内にランダムに取り込まれて蛍光斑(speckle)を形成するため,speckleの移動を経時的に観察することで細胞骨格全体の動態が詳細に解析できる。その結果,神経突起形成時の細胞体周辺部に見られるラメラ構造(perisomatic lamella)や,伸長中の神経突起先端部に見られる成長円錐において,アクチン線維の後方移動を観察することに成功した。このアクチン後方移動が神経突起形成・伸長の直接的な牽引力を提供していると考えられる。 ところで,神経突起の伸長・方向転換等の細胞運動は,細胞内セカンドメッセンジャーであるカルシウムによって制御を受けることが知られている。そこで次に,細胞内局所カルシウム上昇によるアクチン動態調節機構について解析した。細胞内に導入されたケージドカルシウムの光解離によって成長円錐内局所領域におけるカルシウム上昇を引き起こしたところ,アクチン後方移動の速度に有意な変化は見られなかった。この結果から,細胞内カルシウム上昇はアクチン後方移動の速度変化を引き起こす直接的な要因では黒いことが示唆された。 現在は,もう一つの細胞骨格である微小管の生きた細胞内での動態を解析中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Koichi Kawahara: "Increased resistance to nitric oxide cytotoxicity associated with differentiation of neuroblastoma-glioma hybrid (NG108-15) cells"Free Radical Research. 36・5. 545-554 (2002)
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[Publications] 戸島 拓郎: "神経軸索の伸展を制御する仕組み"Brain Medical. 14・4. 387-392 (2002)