2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J10835
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
朴 天鎬 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 神経病原体 / ネオスポラ / インフルエンザウイルス / CNS / 感染経路 |
Research Abstract |
ネオスポラ原虫は中枢神経系(CNS)に好んで感染する。CNSへの感染経路については神向性または血行性が示唆されている。この感染様式は神経病原性を示すウイルスの性格に類似している。 本研究では、神経病原性を示すインフルエンザウイルスを鶏胚とマウスに接種し、ネオスポラのCNSへの感染経路と比較した。次に、1997年に香港で分離されたインフルエンザウイルス(H5N1)をBALB/cマウスと免疫不全マウスに感染させ、両者の病理発生の違いについて検討した。その結果、鶏胚では最初に血管内皮細胞に感染し血行性にCNSに浸入することが明らかになった。これに対し、マウスではウイルス抗原およびウイルスゲノムがCNSに先行して、または同時期に翼口蓋神経節、三叉神経節および迷走神経近位神経節に検出された。また、感染初期の嗅球にもウイルス抗原および核酸が検出された。これらの感染マウスは顕著な血管病変を欠き、血管内皮細胞にウイルス抗原は出現しなかった。従って、マウスに経鼻感染したウイルスは呼吸粘膜で増殖した後、嗅球、脳幹および胸髄のCNS各部位に浸入したことが示唆された。次に、香港で分離されたインフルエンザウイルス(H5N1)をBALB/cマウスと免疫不全マウス(NUDE, SCID)に感染させた結果、BALB/cマウスではH5N1ウイルスが神経好性でCNSへ浸入するのに対して、免疫不全マウスでは神経好性および血行性両方の浸入経路を獲得することが推測された。 以上の結果から、インフルエンザウイルスは鶏胚および免疫不全マウスでは主に血行性に、BALB/cマウスでは神経線維を利用してCNSへ浸入することがわかった。つまり、神経病原体のCNSへの浸入経路は宿主動物の免疫状態によって規定されることが示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Park CH, Ishinaka M, Takada A, Kida H, Kimura T, Ochiai K, Umemura T.: "The invasion routes of neurovirulent A/Hong Kong/483/97 (H5N1) influenza virus into the central nervous system after respiratory infection in mice"Archives of Virology. 147. 1425-1436 (2002)
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[Publications] Park CH, Ozaki H, Takada A, Kida H, Ochiai K, Umemura T.: "Primary target cells of virulent strains of type A influenza virus in chicken embryos"Avian Pathology. 30. 269-272 (2001)
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[Publications] Park CH, Sawada M, Morita T, Shimada A, Ochiai K, Umemura T.: "Neospora caninum infected the alimentary tract of nude mice and was transmitted to other mice by intraperitoneal inoculation with the interstinal contents"Journal of Veterinary Medical Science. 62. 525-527 (2000)
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[Publications] Tanaka H, Park CH, Ninomiya A, Ozaki H, Takada A, Umemura T, Kida H: "Neurotropism of the 1997 Hong Kong H5N1 influenza virus in mice"Veterinary Microbiology. (in press).