2002 Fiscal Year Annual Research Report
新たな生理活性ホルモンとしてのプロインスリンC-ペプチド
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01J10942
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
北村 剛規 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | C-ペプチド / 血管内皮細胞 / MAPキナーゼ / MAPKAP-K2 / CREB |
Research Abstract |
申請者は前年度までにC-ペプチドがLEII微小血管内皮細胞株においてMAPキナーゼ(ERK、p38)と転写因子(CREB)を活性化することを見出している。そこで本年度はこれらの活性化にいたるシグナル経路について検討した。また、これらC-ペプチドの作用がLEII細胞以外の血管内皮細胞でもみられるか検討した。 1.C-ペプチドによるMAPキナーゼと転写因子の活性化機構の解析 LEII細胞を用いてC-ペプチドによるERK、p38MAPKの活性化に対する幾つかの阻害剤の影響を検討した結果、これらの活性化にはいずれにもPTX感受性G-蛋白質、PI-3キナーゼおよびPKCが関与することが明らかとなった。またC-ペプチドによるCREBの活性化には、p38MAPKの活性化とそれに続くMAPKAP-K2の活性化が関与することが明らかとなった。(Biochemical Journal (2002)366,737-747) 2.血管内皮細胞間でのC-ペプチドの効果の違い ラットより肺微小血管内皮細胞(RLMEC)と大動脈血管内皮細胞(RAEC)を分離してC-ペプチドに対する応答を調べた。RLMECではLEII細胞と同様にC-ペプチドによってERK、p38MAPKおよびCREBのリン酸化が促進されたが、RAECではERKはリン酸化されたがp38MAPKやCREBのリン酸化は誘起されなかった。 以上の結果よりC-ペプチドの作用が血管内皮細胞の由来によって異なり、微小血管内皮細胞においてはC-ペプチドがp38MAPK〜MAPKAP-K2を介したCREBの活性化によって何らかの遺伝子発現を制御していることが示唆された。 一方、ERKは血管機能の調節に重要なeNOS(血管内皮型NO合成酵素)遺伝子の発現を誘導することが知られている。そこで今後はC-ペプチドによるERK活性化の役割を明らかにするために、p38MAPK経路の影響を排除できるRAECを用いてeNOSの発現に焦点を絞って検討する。
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Research Products
(1 results)