2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J10983
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤谷 雄二 北海道大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員DC1
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Keywords | エアロゾル / 太平洋海域 / 気候影響 / 直接効果 |
Research Abstract |
今年度は、昨年度までに得られた海洋上のエアロゾル観測の実測結果を基に、人工衛星リモートセンシングにより、光学的厚さの広域分布を算出した。さらに、それらの結果を用いてエアロゾルの気候への直接効果を評価した。 人工衛星Terraに搭載されているMODISセンサーの輝度データと実測で得られたエアロゾル光学特性から、光学的厚さτの推定を行い、一ヶ月の光学的厚さの広域分布を求めた。2002年2月および7月の赤道から北緯40°、東経130°から160°の外洋の解析(波長530nm)では、北緯30°以北において、それぞれ0.24および0.17というτの高い領域が見られた。また、2001年5月の解析(波長870nm)では、北緯25°以北の海域全域にわたって、平均でτ=0.35と厚いエアロゾル分布域が得られた。また、2002年8月にはカリマンタン島、スマトラ島で森林火災が起きていたが、そのときのインドネシア周辺の解析(波長680nm)では、南シナ海、マラッカ海峡などの、森林火災の発生源に近い海域で、τの値が0.24と高い領域が見られた。 次に、放射強制力を算出し、エアロゾルの気候への直接効果を評価した。2002年2月の化石焼料燃焼の影響がみられた北緯30°以北の海域におけるΔF_<TOA>の平均値は-9.4Wm^<-2>であった。この値は、北米東岸沖の大西洋や冬季のインド洋において実測されたものとほぼ同程度の大きさである。また、2001年5月および2002年8月については、観測されたエアロゾルが存在することにより、地表が受け取る放射量が低下し(月毎の平均値が-92Wm^<-2>から-95Wm^<-2>)、かつ大気の受け取る放射量が増大していた(90Wm^<-2>)。これは大気層が、より安定となることを示している。その結果、対流が起こりにくくなり、雲がより生成されにくい状況を作り出していると考えられる。
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Research Products
(1 results)