2002 Fiscal Year Annual Research Report
新規光学活性相間移動触媒の分子デザインと不斉合成への展開
Project/Area Number |
01J10991
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
亀田 稔 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 光学活性相関移動触媒 / 直接的不斉アルドール反応 / 光学活性β-ヒドロキシ-α-アミノ酸 |
Research Abstract |
光学活性β-ヒドロキシ-α-アミノ酸は医薬品等の重要な合成中間体であり、またβ-ラクタム、β-ハロ-α-アミノ酸、アジリジン等に短段階で変換できる点からも、その効率的合成法の開発は有機合成化学上極めて重要な課題の一つであると言える。しかし活発な研究にも関わらず、光学的に純粋なβ-ヒドロキシ-α-アミノ酸の合成にはこれまで多段階の反応や当量のキラル補助基等を必要とした。また直接的な合成法として、L-トレオニンアルドラーゼに代表される酵素法が挙げられるが、操作が非常に煩雑であり、さらに酵素特有の基質特異性により適用範囲が極端に限られていた。そこで今回、私がこれまでに開発したN-スピロ環という特徴的な構造を有するC_<2->対称な光学活性四級アンモニウム塩をさらに修飾し、これを相間移動触媒として用いることで、グリシンt-ブチルエステルベンゾフェノンシッフ塩基と各種アルデヒドとの直接的不斉アルドール反応の開発に初めて成功した。本法により、種々の光学活性β-ヒドロキシ-α-アミノ酸を良好な収率、及び非常に高いジアステレオ、エナンチオ選択性で直接的に合成することが可能となった。このことから本触媒がいわば人工酵素としての役割を担っていると言える。さらに本法は実験操作が非常に簡便であり、重金属を必要としない環境調和型の反応システムであることから大量合成に適しており、真に実用的な有機合成プロセスを提供しうるものであると言える。
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Research Products
(1 results)