2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J11015
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 壮一郎 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 特別研究員DC1
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Keywords | シアノバクテリア / クロロフィルb / クロロフィリドaオキシゲナーゼ / 吸収スペクトル / 光化学系I |
Research Abstract |
ラン藻のクロロフィルb合成形質転換株を用いて、クロロフィルbの作用スペクトルや集光装置内におけるクロロフィルb結合部位の解析を行ってきた。そして、さらに詳細な解析を行うために、クロロフィルb含量の高いラン藻を作製しようという試みを行ってきた。昨年度までは、クロロフィルa/b結合タンパク質であるlhcb1遺伝子の一部とCAOを導入した形質転換株が、最大でクロロフィルa量の約5分の1のクロロフィルbを合成することを明らかにした。この結果は、ラン藻に導入したCAOの活性がLHCタンパク質との相互作用によって上昇したことを示唆するものであった。そこで今年度は、さらにCAOの活性の高い形質転換株を作製するために、lhcb1遺伝子の全長、または、他のlhcb1断片をクロロフィルb合成株に導入した新たな形質転換株を作製した。 また、以前ラン藻に導入したCAO遺伝子の発現には、psbA2遺伝子のプロモーターを使用していた。このpsbA2遺伝子にコードされているD1タンパク質は、非常にその合成が活発であることが知られている。そこで、今回は転写のみならず、翻訳系もpsbA2のものを利用しようと考え、ラン藻中のpsbA2遺伝子のORFをCAOのORFに置き換えた形質転換株を作製した。そしてこれらの遺伝子を導入した形質転換株のクロロフィルb合成量を測定した。しかし、今回作成した全ての形質転換株において、クロロフィルaの5分の1以上のクロロフィルbを合成することはできず、以前作製したCAOのみを含む株と同程度のクロロフィルb合成量を示した。以上のことから、ラン藻の形質転換株におけるクロロフィルbの蓄積量は、CAOタンパク質の合成や、LHCタンパク質との相互作用以外の、何か未知の因子の制御を受けていることが考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Satoh, S: "Chlorophyll b inhibits the formation of photosystem I trimer in Synechocystis sp. PCC6803"FEBS Letters. 528. 235-240 (2002)
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[Publications] 田中 歩: "再現実験から光合成の進化を考える"遺伝. 56. 67-72 (2002)
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[Publications] Nagata, N: "Isolation and Characterization of a Gene for Chlorophyllide a Oxygenase from Prochlorothrix Hollandica"Symbiosis and Cellular Organelles. (印刷中).