2002 Fiscal Year Annual Research Report
閉鎖型苗生産システムの開発および利用に関する基礎的研究
Project/Area Number |
01J11022
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大山 克己 千葉大学, 園芸学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 苗生産 / 人工光 / 電気エネルギ消費量 / 資源消費量 / 環境調節 / 付加価値 |
Research Abstract |
本年度は,昨年度に行った実験のデータ解析を行った.その内容について,国内外の学会において口頭もしくはポスター発表した.それらの内容は,1)実用規模の閉鎖型苗生産システムとして建設された千葉大学園芸学部内にある閉鎖型植物生産施設において,苗育成時におけるエネルギおよび物質収支を把握する,2)苗周辺の環境と生育との関係を定量的に把握する,3)環境調節により苗の高品質化を目指す,4)システム要素技術の開発による苗生産のよりいっそうの効率化を目指す,という4点に要約することができる.これらの実験データの解析をすすめていった結果,電気エネルギを化学エネルギとして効率よく苗に固定させることができ,かつ水および二酸化炭素消費量の大幅な削減が見込めることを示せた.また,苗育成環境を効率的に制御するための基礎知見を得ることができ,その応用により苗の高品質化を見込むことができた.さらに,新しいかん水技術のひとつである噴射式底面かん水装置を利用するための基礎データを収集し,それにもとづき苗育成時の培地の水分状態を精度よく制御できることを示すことができた.現在のところ,データ解析はまだ途中であり,今後もそれをよりいっそうすすめていくことで,新知見が得られると思われる.今後,現在と同様に国内外の学会において公表していくことを予定している. 他方,本年度後半(11月)より,アメリカ航空宇宙局ケネディースペースセンターにおいて,低圧環境下における植物の物質収支解析に関して,共同研究を開始した.研究内容に関しては,対象とする植物の使用目的が異なるだけであり,基本的概念は閉鎖型苗生産システムにおけるそれとほぼ同様である.この研究の結果は,双方にとり有益であると期待される.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] ロク, 大山, 久保田, チンタコーヴィッド, 古在: "閉鎖型苗生産システムにおけるサツマイモ増殖体生産速度と消費電力量に及ぼす増殖法の影響"生物環境調節. 40・3. 311-316 (2002)
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[Publications] 大山, 古在, 久保田, 全, 長谷川, 横井, 西村: "閉鎖型苗生産システムに設置した家庭用エアコンの冷房時成績係数"植物工場学会誌. 14・3. 141-146 (2002)
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[Publications] 大山, 真辺, 大村, 久保田, 古在: "閉鎖型苗生産システムと開放型苗生産システムの夏季におけるトマトセル成型苗の品質と資源消費量の比較例"生物環境調節. 41・1. 57-61 (2003)
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[Publications] 大山, 古在, 全: "閉鎖型苗生産システムの開発およびその利用"植物工場学会誌. 15・1. 1-10 (2003)