2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J11064
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
新垣 公弥子 琉球大学, 教育学部, 日本学術振興会特別研究員(PD)
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Keywords | 沖縄北部方言 / ワ行子音の変遷 / gwa音 / 直訳できない表現 / 自他一体化の世界 / 音韻の特徴 / 活用の特徴 / 視点の移動 |
Research Abstract |
琉球方言の中でも調査資料の乏しい八重山郡石垣市白保地域の方言を調査し、資料を整備した。調査内容は、音韻、活用(動詞・形容詞)、助詞についてである。調査の結果、まず当地域のワ行子音は/b/に対応することがわかった。これは沖縄北部方言のワ行子音/b/にも関連するが、沖縄北部方言に見られた/gw/は当地では観察されなかった。今後の課題は、昨年度調査を実施した宮良方言の資料とも合わせて、当地のワ行子音がどのように沖縄北部方言のそれと関連しているのかについて考察し、ワ行子音の変化過程を明らかにしたい。また音声では、中舌母音の[i]が観察されたが、先行研究に見られる[e]は観察できなかった。この点については、八重山方言の音声変化を記録する上で緻密な調査と、充分な議論が不可欠である。次に活用体系は、他の八重山方言と同様であり、沖縄本島方言とは異なることがわかった。今後は近隣方言との差異について観察し比較研究を進めていく。続いて助詞では、いわゆる共通語の「が」に対応する助詞はなく、代わって係助詞の[du]と連体助詞の[nu]とが、格助詞「が」の働きを担いつつある。係助詞[du]と連体助詞[nu]とがどのような過程を経て格助詞化していくのかについて考察を深めたい。これまでの研究成果に照らし合わせ、ウチ・ソトの関係で、当方言の「ガ」について述べれば、ウチ・ソト意識は崩壊し、機能分担の一翼を担えず淘汰され、格助詞、連体助詞ともに「ヌ」がすべてを担っている。 調査を進める一方で、平行して調査資料をまとめ、成果を論文としてまとめている。来年度の調査資料をも合わせて報告書を作成する予定である。
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Research Products
(1 results)