2002 Fiscal Year Annual Research Report
N-WASPと相互作用する新規蛋白質p55による細胞形態の制御
Project/Area Number |
01J11080
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
加藤 真良 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | WICH / N-WASP / アクチン重合 / アクチンコメット / アクチン架橋 |
Research Abstract |
最初にin vitroにおけるWICH(p55)のN-WASP活性化能について検討するため、WICHの組み換え蛋白質を昆虫細胞にGST融合蛋白質として大量発現させ、精製した。実験に影響を及ぼす可能性のあるGSTはプレシジョンプロテアーゼ処理して除いた。そしてN-WASP、Arp2/3複合体やピレン標識したアクチンも調製し、蛍光分光光度計を使ってアクチン重合実験を行った。その結果、WICH存在下でN-WASPはアクチン重合を促進した。また、N-WASPがアクチン重合を促進するとアクチンコメット形成を促進することが知られているので、そこにおけるWICHの関連性についても検討した。N-WASPをコートしたプラスチックビーズを蛍光標識したアクチンを加えた牛脳細胞抽出液中に入れ、蛍光顕微鏡でビーズを観察した結果、ビーズはWICH存在下で、より長いアクチンコメットを形成して抽出液中を泳いだ。以上よりWICHがN-WASPを活性化し、アクチン重合を促進することが明らかとなった。 次にWICH自身がアクチンに及ぼす影響を調べた。まず、精製したWICHとアクチンを使って共沈殿実験を行ったところ、WICHによりアクチンは架橋され高次構造をとっている可能性が示唆された。また蛍光標識したファロイジンを使い、その時のアクチンの形態を蛍光顕微鏡にて観察したところ、束化されたアクチンの存在が認められた。ここでWICHのアクチン束化能について検討するため、WICHにアクチン結合部位が複数存在するか、自身が二量体以上の複合体を形成するかをゲル濾過法など用いての解析を試みた。しかしそれらの方法はWICHの場合には適さず、WICHのアクチン束化能については結論を出すに至っていない。 最後にWICHのin vivoでの機能解析を試みた。脳、腸、胃、肺の組織切片を凍結切片法で作製し、免疫蛍光抗体法を用いてWICHの局在を調べたところ、脳では海馬、小脳の顆粒細胞とプルキンエ細胞、腸、胃、肺では平滑筋細胞に高発現が認められた。現在これらの細胞の初代培養を行って機能解析を試みているが未だ新たな知見は得られていない。
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