2002 Fiscal Year Annual Research Report
プレート沈み込み帯での動的条件下における物質移動特性と物理特性のその場観測
Project/Area Number |
01J11169
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
廣野 哲朗 北海道大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員PD
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Keywords | 透水試験 / X線CT / 岩石 |
Research Abstract |
今年度は,沈み込み帯での物質移動特性の定量的評価のために,堆積物・岩石内の内部組織の可視化のため,新しい装置,マイクロフォーカスX線CTの使用を試みた.三軸圧縮試験によって破壊面が形成した白浜砂岩で撮影を試みた結果,X線CT画像で破壊面が存在するのが認められる.未変形な部分では,砂粒子のサイズが数100μm径であるのに対し,破壊面の内部では細粒化している.試験前の試料の状態では均質な粒度分布を持つため,試験後の試料内の粒径の減少は剪断破壊時の粒子の破砕作用によるものと考えられる.変形試験後の試料を切断,整形することなく,非破壊で内部の変形組織の観察が砂粒子サイズの解像度で行えることは非常に有効である. また,堆積物を主体とする付加体の構造発達を考える上で,粘土の圧密と変形は重要な要素と言える.そこで,野外に露出する過去の付加地質体の構造地質学的記載に加え,粘土鉱物の含有量とその相対量比の測定を行い,変形様式や変形の度合いとの関係の考察を行った.研究対象地域は房総半島嶺岡帯の東南方の,鴨川市の江見に広がる海岸である.この海岸に露出する地質体は江見層もしくは保田層群と呼ばれており,珪質鞭毛藻化石によって中・下部中新統に対比されている.凝灰質シルト岩を主とし凝灰岩,凝灰質砂岩,火山質砂岩を挟む地層が露出する.この地質体には同一層の繰り返しが認められ,これは地層に平行な断層によるものである.この繰り返しによって約4.5倍の地層の厚化が生じている.この地層に平行な断層は付加体の成長を担うものといえる.そこで,その断層に着目し,粘土鉱物の含有量とその相対量比の測定のための試料採取を計13箇所で行った.粘土鉱物間の相対量比の測定にはXRDを,全岩における粘土鉱物の定量には赤外分光法を用いた.各手法の詳細はここでは省略する.結果,断層が密に発達する部分では,スメクタイトの相対量比が60%以上であり,粘土鉱物の含有量が相対的に多い傾向が認められた.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 廣野 哲朗, 横山 正, 高橋 学他: "マイクロフォーカスX線CT装置を用いた堆積物岩石の内部構造の観察"日本地質学雑誌. 108. 606-609 (2002)
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[Publications] Hirono, T., Takahashi, M., Nakashima: "Direct imaging of fluid flon in geomaterial"Geological Society of London Special Publication. (in press).