2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J11197
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鶴田 英之 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 全合成 / FD-594 |
Research Abstract |
FD-594全合成におけるモデル化合物として、TAN-1085の全合成を行った。TAN-1085はFD-594と同様に、ペリ位にメトキシ基のあるトランスジオールを有している。ベンゾシクロブテンの環拡大反応によるビアリール骨格の構築、およびビアリールジアルデヒドの分子内ピナコール生成反応を鍵行程とした逆合成解析を行い、これに従ってTAN-1085全合成を検討した。 市販されている、3,5-ジヒドロキシ安息香酸を出発原料とし全合成に着手した。ベンゾシクロブテンの環拡大反応においては、反応に関与するアリル位をアルデヒドに酸化することにより、目的とする環拡大反応が速やかに進行することを見いだした。さらに本手法では次の鍵行程である分子内ピナコール生成反応に必要なアルデヒドが得られるという大きな利点を有している。分子内ピナコール生成反応においてはヨウ化サマリウムを用いてピナコール生成反応を行った後に直ちにアセチル化し、目的とするジアセチル体をトランス体:シス体比が11:1にて収率よく得ることができた。 ジアセチル体を、数工程を経てジオール部位の保護基の掛け替えを行った後に、α選択的に糖部位を導入した。さらに数工程を経た後に、ジアステレオマーをクロヤトグラフィーにて分割した。分割したジアステレオマーの一方を酸化し、最後にすべての保護基を脱保護することによって、全29行程にてTAN-1085の全合成を行うことができた。 またドイツ、ヴュルツブルク大学ブリングマン教授の下で、海洋性抗生物質の合成及びその生理活性に関する研究を行った。ニコチン酸骨格を有する、ベタインアルカロイド、及び含硫黄ナフトキノンを合成し、興味深い生理活性を示すことが分かった。現在これらの化合物はより詳細な生理活性試験を行っている。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Hideyuki Tsuruta, Kentaro Yamaguch, Imamoto Tsuneo: "Tandem mass spectroscopic analysis of rare earth(III) complexes : Evaluation of relative strength of their Lewis acidity"Tetrahedron. 59.52. 10419-10438 (2003)