2002 Fiscal Year Annual Research Report
融合ヒドロゲナーゼを用いた微生物の水素発生効率の改変
Project/Area Number |
01J11209
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊原 正喜 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 光水素発生 / 光合成 / ヒドロゲナーゼ / photosystem |
Research Abstract |
本研究では、21世紀のエネルギー源である水素を、光合成微生物を利用して太陽光から効率よく生産する技術の確立を目標としている。この目標のために、光合成反応中心から光励起反応により生み出される還元力を、プロトン還元酵素であるヒドロゲナーゼへ効率よく受け渡す仕組みが必要である。そのために、光合成反応中心とヒドロゲナーゼを融合させ、生体内では起こることのない両蛋白質間での電子移動を可能とすることを目指した。光合成反応中心とヒドロゲナーゼの融合蛋白質は、近年明らかになった光合成反応中心(photosystem I)とFeNiヒドロゲナーゼのX線結晶構造をもとに設計した。その結果、FeNiヒドロゲナーゼのスモールサブユニットのC末端に、photosystem I構成成分の一つであるPsaEのN末端を結合させた場合、最も効率よく電子伝達が起こることが予想された。photosystem I-ヒドロゲナーゼ融合蛋白質は、光水素発生能を詳細に評価するために、今回は細胞外で作成することを目的とし、PsaEを融合したヒドロゲナーゼとPsaE欠損photosystem Iを別々に作成した後に再構成するというストラテジーを考えた。PsaE融合ヒドロゲナーゼの作成に関しては、遺伝子操作によって相当する遺伝子を作成し、Desulfovibrio vulgaris、Desulfovibrio furctosovorans、Ralstonia eutrophaに形質転換を行い、PsaE融合ヒドロゲナーゼの発現を確認している。また、PsaE欠損photosystem Iに関しては、シアノバクテリアのPsaE欠損株を埼玉大学の仲本先生から譲渡して頂き単離した。今後PsaE融合ヒドロゲナーゼを精製しphotosystem Iに組み込み、光水素発生効率を検討する予定である。
|