2002 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類DNAシトシンメチル基転移酵素の活性制御に関する研究
Project/Area Number |
01J11241
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
斉藤 基輝 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | メチル化DNA / DNAシトシンメチル基転移酵素 / テロメア / クロマチンリモデリング / アフリカツメガエル / ヘテロクロマチ |
Research Abstract |
ゲノムDNAのメチル化修飾パターンの形成機構を解明する為に、本年度は基質の構造に関して研究を進めた。これまでのDNAシトシンメチル基転移酵素の酵素学的研究には、基質に精製されたDNAが用いられてきた。しかし近年、クロマチン構造やコアヒストン修飾とシトシンメチル化修飾に関連が見られることが遺伝学的に示されるようになった。そこで私は、再構成クロマチンを用いて解析を行った。アフリカツメガエルの未受精卵を用い、クロマチンを再構成する系は既に確立している。しかし、DNAメチル化と関連が深いヘテロクロマチンのような、さらなる高次構造体を再構成することについては、未だ確立した系はない。そこで、染色体末端テロメアに局在するヘテログロマチンをモデルとして用いることにした。テロメア繰り返し配列を末端に持つDNAを卵抽出液に加えた場合、通常の二本鎖切断末端とは異なり、DNA損傷チェックポイントの活性化が見られなかった。この結果は、加えたDNAの末端にテロメア複合体が形成されたことを示唆している。また、通常の二本鎖切断末端を持つDNAを卵抽出液中に加えた場合、DNA修復反応が起こるため、放射性標識ヌクレオチドがDNAに取り込まれる。しかし、テロメアを持つDNAの場合には、効率的な標識ヌクレオチドの取り込みが観察されなかった。このことは、テロメア配列を持つ外来DNAの末端は、チェックポイント機構による認識を免れ、さらに修復機構にも認識されない構造体を形成しているものと考えられる。以上の結果より、テロメア機能の一部を備え持った高次クロマチンを再構成することができたと思われる。今後は、ヘテロクロマチンとしての転写抑制能の検定を行い、最終的にはDNAメチル化修飾の挙動を観察する予定である。
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Research Products
(1 results)