2002 Fiscal Year Annual Research Report
配位子の特性を生かしたマンガン窒素錯体の合成とそれを用いた求核的アミノ化反応
Project/Area Number |
01J11325
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
三浦 智也 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | レニウム窒素錯体 / 炭素求核剤 / Heterobimetallic |
Research Abstract |
前年度は、Cp環上に電子求引性基が置換している新規レニウム窒素錯体((Cp-CO_2H)Re(CO)_2(N_2)と(Cp-CO_2Et)Re(CO)_2(N_2))を合成した。そこで、MeLiやPhLiなどを含め各種炭素求核剤との反応を鋭意検討したが、配位窒素分子とはいずれの場合も反応しなかった。そこで、より効率良く配位窒素分子を活性化するために、レニウム金属に加えLewis酸性を持つ金属の2点で配位窒素分子を活性化するHeterobimetallicな窒素錯体を合成することにした。具体的には、先に合成した(Cp-CO_2H)Re(CO)_2(N_2)より(Cp-CONMe(o-C_6H_4-OH)Re(CO)_2(N_2)と(Cp-CONMe(1,8-C_<10>H_6-OH))Re(CO)_2(N_2)を合成し、これに適切なLewis酸性を持つ金属化合物を作用し、芳香環上の水酸基と反応させ反応系中にてHeterobimetallicな窒素錯体の合成を試みることにした。まず、(Cp-CO_2H)Re(CO)_2(N_2)より(Cp-COCl)Re(CO)_2(N_2)を合成し、ついで、これと適切なアミノアルコールを反応させ、対応する窒素錯体を合成した。これらのレニウム窒素錯体の配位窒素分子の赤外吸光分析を行ったところ、窒素分子の伸縮振動の値は(Cp-CO_2Et)Re(CO)_2(N_2)の時と同様にCp環上に電子求引性基が置換しているため、官能基のないCpRe(CO)_2(N_2)(υ:2142cm^<-1>)よりも値が大きく2150,2157cm^<-1>であった。次に、これらの新規錯体にLewis酸性を持つ金属(AlMeCl_2,AlMe_3,TiCl_4,Ti(Oi-Pr)_4,SnCl_4等)を作用し、^1HNMRにて錯形成を確認した後に、金属2点で配位窒素分子を活性化しているかを配位窒素分子の赤外吸光分析にて確認した。その結果、いずれの場合も窒素分子の伸縮振動の値に変動がなく、配位窒素分子とLewis酸性を持つ金属との間で相互作用がないことがわかった。以上、配位子の特性を生かした様々な窒素錯体を合成し、各種炭素求核剤との求核付加反応を検討した。しかし、これまでのところ、配位窒素分子に求核剤を付加させることは困難であった。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Nobuharu Inasawa, Tomoya Miura, Koichi Kiyota, Hiroyuki Kusama, Kooyoou Lee, Philil Ho Lee: "An Efficient Method for Cyclopentene Annulation onto α,β-Unsaturated Ketones : W(CO)_5(L)-Catalyzed 5-Endo-Dig Cyclization of 6-Siloxy-5-en-1-ynes"Organic Letters. 4・25. 4463-4466 (2002)