2002 Fiscal Year Annual Research Report
BELLE実験におけるCP非保存ユニタリティ三角形の辺と角度の測定
Project/Area Number |
01J11427
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
角野 秀一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | CP非保存 / ユニタリティ三角形 / |V_<ub>| / フレーバタギング / sin2φ_1 |
Research Abstract |
小林・益川理論は、弱い相互作用の固有状態と質量固有状態の違いを表す3×3のユニタリー行列(小林・益川行列)を用いてCPの破れを説明する。この小林・益川行列のユニタリー性より得られる仮想的な三角形(ユニタリティ三角形)の角度の一つであるφ_1と、辺の長さの一つである|V_<ub>|の測定がKEKB加速器及びBelle検出器を用いて行われている。これら2つのパラメータは小林・益川理論の検証において非常に重要な役割を演じる。 ユニタリティ三角形の角度の一つφ_1は、B^0中間子およびB^^-^0中間子がチャーモニウムを含むCP固有状態に崩壊する際、その崩壊率の時間依存性の違いより測定が可能であるが、それらB^0中間子およびB^^-^0中間子の事象を分離すること(B中間子の香りの同定)はこの測定において非常に重要である。昨年度は多次元likelihood法を用いたB中間子の香りの同定法を開発し、それを用いて0でないsin2φ_1の値が確立されたが、本年度はデータのより深い理解に基くlikelihoodの改善により中性B中間子の香りの実効的同定効率28.8±0.6%を得た。この高い実効的同定効率は、2002年夏に得られた精密なsin2φ_1の値(0.99±0.14±0.06)に大きく貢献した。 ユニタリティ三角形の辺の長さの一つに対応する|V_<ub>|の測定には、B中間子がcharmクォークを含まない終状態に準レプトン崩壊する事象が重要な役割を果たす。特に、B中間子のその事象の包括的な分岐比は理論的に最も精度の良い|V_<ub>|の値を与えるが、約100倍大きな事象であるcharmクォークを含む終状態への遷移を効率良く排除する事がこの測定での鍵となる。本研究では、B中間子のcharmクォークを含まない終状態に準レプトン崩壊をする分岐比を測定し、更にその分岐比を用いて|V_<ub>|の測定を行った。その際、理論的な不定性をおさえ、かつcharmクォークの含む状態への遷移のバックグラウンドを最小限にとどめるために、終状態のハドロンの不変質量(M_X)及び、系の4元運動量遷移の2乗(q^2)を用いた測定方法を新たに開発し、他の実験結果に比べて高い統計精度で|V_<ub>|の値が得られた。結果は現在準備を進めている投稿論文で公表される。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] K.Abe, et al.(Belle collaboration): "Observation of Mixing-induced CP Violation in the Neutral B Meson System"Physical Review. D66. 032007 (2002)
-
[Publications] K.Abe, et al.(Belle collaboration): "Improved Measurement of Mixing-induced CP Violation in the Neutral B Meson System"Physical Review. D66. 071102 (2002)