2002 Fiscal Year Annual Research Report
ベント型液晶系における末端アルキル鎖内の光学活性基の物性への影響
Project/Area Number |
01J11510
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中田 未知 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 液晶 / 強誘電性 / ミクロ相分離 |
Research Abstract |
ベント型分子の形成するスメクティック液晶相において、自発分極を有する強誘電性の発現を確認した。さらに、この強誘電相において、自発分極によって実効的な弾性定数が異方的に変化し、スメクティック層構造に変形をきたした分極変形相(Polarization modulated phase)が発現することを、高エネルギー加速器研究機構、BL-4Aにおけるマイクロビ-ムX線を用いたX線回折実験と、アメリカ、コロラド大学との共同研究によって明らかにし、現在投稿論文を執筆中である。 ベント型分子液晶相における強誘電性・反強誘電性の発現機構について、末端アルキレン鎖の構造の異なるベント型分子の物性測定を系統的に行った結果、隣接するスメクティック層の層間における末端鎖同士の相互作用が重要な役割を担うことが明らかになりつつある。すなわち、末端鎖同士の相互嵌合が大きい系では反強誘電性の構造が優位になり、末端に不斉炭素のような分枝構造を持つ場合は、相互嵌合が妨げられ、弾誘電性の構造が優位になる。この層間相互作用の存在を明らかにするために、この液晶相に直鎖アルキルを混合し、直鎖アルキル分子がスメクティック層の層間に凝縮するミクロ相分離を用いて層間相互作用を弱める実験を考案し、物性測定を行っている。この経過にっいて、International Liquid Crystal Conferenceにおいてポスター発表を行った。 一方で、ベント型分子は分子構造がアキラルであるにもかかわらず、他のキラル液晶系に添加した際に、キラルスメクティック相の螺旋ピッチを短くするなどの、キラリティー増強作用が指摘されている。そこで、このベント型分子をキラルネマティック液晶に添加して物性測定を行い、二次元周期構造をもつブルー相が誘起されることを確認し、International Liquid Crystal Conferenceにおいてポスター発表を行った。
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