2002 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロマシーン構造を用いた発振波長の温度無依存化を可能とする新しい半導体レーザ
Project/Area Number |
01J11550
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
天野 建 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 波長可変 / マイクロマシン / 面発光レーザ / 温度無依存 / 熱応力 |
Research Abstract |
MEMSを用いたデバイスは光との相性の良さから、オプトエレクトロニクスの分野で非常に広い範囲での応用が考えられている.MEMSを集積した波長可変フィルタは連続的な波長可変が可能、偏波無依存、アレー化が可能といった利点が挙げられる.本研究では熱応力を用いた新しい機能を持つ光フィルタ、半導体レーザを提案している.溝付き熱応力マイクロマシンフィルタを製作する.片持ち梁構造の上部DBR上に熱応力層が付加されており、熱により片持ち梁を上下にマイクロ動作させる.また、電極間に溝を掘ることで電流経路が制限でき、効率良く梁が加熱できる.3次元有限要素法を用いて熱分布を求めた.片持ち梁部分に5倍の温度が梁に集中していることが分かった.これを実際製作し、波長挿引を行った.6.1Vと低電圧で53nm以上の連続的な波長可変特性が得られた.53nmを得るには80mW程の消費電力が必要となっており、これは溝無しの物に比べて低消費電力となっている.次に可変速度について測定した.静電駆動型では片持ち梁の共振周波数で速度は決まるが、熱応力駆動では熱応答で制限される.溝の無いマイクロマシンフィルタの電極間に2V、77Hzのパルス電圧をかけて応答速度を測定した.立ち上がり、立下り時間は約100μs程とサブミリセックの応答速度が得られた.最後に以前から本研究室ではマイクロマシン構造を集積した発振波長が温度無依存となる、面発光レーザを報告する.今回、試作として共振型発光素子を製作した.基本構造はマイクロマシンフィルタ構造と類似している.活性領域はエアギャップと下部DBRの間に位置し、0.96μm帯InGaAs3Qwとした.片持ち梁の長さを110μm, GaAs層の厚さを500nmとしたところ,20℃から110℃までの温度変化で、共振波長変化量は1.7nmとなった.この共振型発光素子は温度による共振波長変化が+0.015nm/Kと通常の単一モード半導体レーザ(+0.1nm/K)の1/6以下の共振波長変化量を実現している.
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] T.Amano, F.Koyama, M.Arai: "GaAlAs/GaAs micrornachined thermally tunable vertical cavity filter with low tuning voltage"Electron. Lett.. 38・14. 738-740 (2002)
-
[Publications] T.Amano, F.Koyama, T.Hino, M.Arai, A.Mastutani: "Design and Fabrication of GaAs/GaAlAs Micranachined Tunable Filter with Thermal Strain Control"J. Lightwave technol.. (2003)