2003 Fiscal Year Annual Research Report
走査型SQUID顕微鏡による高温超伝導体中のポルテックス観察
Project/Area Number |
01J11561
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
笠井 淳平 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 酸化物高温超伝導 / 走査型SQUID顕微鏡 / ボルテックス / 磁束ピニング / 磁場進入長 |
Research Abstract |
本研究では、定量性や磁場感度に優れた走査型SQUID顕微鏡(SSM)を用い、これまで観察例のほとんどない弱磁場下(<0.1mT)に焦点を絞り、ボルテックスの挙動を解明することを目的としている。 本年度は、本研究の最終年度にあたるが、これまで、高濃度PbBi_2Sr_2CaCu_2O_y(Pb-Bi2212)単結晶ac面の走査型SQUID顕微鏡測定を行い、ジョセフソンボルテックスの観察に焦点を当ててきた。その結果として、印加磁場を0.1μT以下に制御することによって定量性に優れたSSM測定法を確立することができ、得られた磁場像からc軸に垂直方向の磁場進入長(λ_c)を得た。以上の成果は、投稿論文として執筆中である。また、上記の手法を生かし、低ドープLa_<2-x>Sr_xCuO_4(LSCO)単結晶ab面のSSM観察をし、新規現象の可能性を探索した。その結果、通常の磁束量子とは異なる磁束の存在が観察された。これは、通常のものと比べIntensityが弱く形状が異なっているのが特徴となっている。詳細に調べるため、単一の磁束量子を取り出し、フラキソイド(Φ_0)であるかの見積もり、磁場進入長の見積もり、X線回折等様々な手法を用い解析した。 また、高ドープLSCO単結晶ab面のSSM観察も行った。同系は以前から測定を行っているものであり、ボルテックスが結晶軸とは無関係に一次元配列するという現象である。以前、SSM温度依存より、転移温度が異なる領域がボルテックスの配列方向と平行に存在することが確認されたが、高感度EPMA測定の結果、試料中にSr濃度揺らぎが確認された。このSr濃度揺らぎの領域は転移温度が異なる領域と一致しており、ボルテックスを一次元配列させる原因であると結論づけた。以上の成果は、セラミックス投稿論文としてApplied Physical letter誌に投稿中である。
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Research Products
(1 results)